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宇都宮けんじブログ

第3回 ZOOM政策トークライブ「東京を人権のまちに!─性的マイノリティ(LGBTQ)と語る」(2020年6月26日)のご報告

「東京を人権のまちに!─性的マイノリティ(LGBTQ)と語る」

開催日時:6月26日(金)20:30〜21:20

ゲスト:LGBTQの当事者の方々
鈴木賢さん(明治大学の法学部勤務。自治体にパートナーシップ制度をつくる運動をしている)
小野春さん(子育てをしているLGBTの人の集まりである「にじいろ家族」代表。同性婚訴訟の原告の一人)
松中権(ゴン)さん(LGBTQに関する場所づくりに取り組むとともに、レインボー国会という超党派の議連の方々と国に差別を解消していく、もしくは平等に人々の権利を作っていくという法律を作ろうという活動もしている)

司会:内田聖子(希望のまち東京をつくる会)

以下、要約

本日のテーマは「東京を人権の街に 性的マイノリティLGBTQと語る」。

LGBTQは、性的マイノリティ、セクシャルマイノリティの総称の一つと言われていますが、LGBTQというのは、それぞれ英単語の頭文字を取ったもの。 LはレズビアンのLで、女性として女性が好きな同性愛者の人々。LGBTのGはゲイで、男性として男性が好きな人々。BというのはバイセクシャルのBで両性愛者。好きになる対象が男性でもあり女性でもある人々。TというのはトランスジェンダーのTで、もともと社会的に割り当てられた性別、つまりは生まれたときの性別と自分が自認する性別、自分がこういう風に生きたいと思っている性別が一致していない人々。Qは「など」に当たる意味で、性的マイノリティ、セクシャルマイノリティにはLGBT以外にも多様な人々がいるので、最近はLGBTQと使われることが多い。

日本ではLGBTQの人々が大体5%から10%ぐらいといる言われているが、多くの人々は、日々身近にある差別的なこととか偏見があって、なかなか自分がLGBTQの当事者であるということをカミングアウト、公にしていないというのがひとつの特徴。隣にいるのか分かりづらい、目に見えづらいマイノリティと言われており、なかなか目に見えづらいので、本当は隣にいるんだけどいないことになってしまっている。そこに存在しないから、たとえば色んな仕組みとか制度から溢れてしまっていたり、隣にいるとも思ってないので差別的なことが発言で出てきたりということが起きてしまっている。なので、その理解を広げていこう、広げていくことによってLGBTQの人たちが隣にいるっていうことを知ってもらい、差別、偏見をなくして行こう、制度を見直そうという運動が日本中、世界中で起っています。

6色レインボーフラッグというのは、LGBTQのグローバルでのシンボルになっています。ちょうど今月6月、世界ではプライド・マンスと言われているが 、LGBTQの人々を祝福する月とも言われています。1969年、51年前にニューヨークのストーンウォールというところでLGBTQの人々が、差別、偏見に対して、初めて声を大きく上げたことからスタートしました。

51年前にストーンウォールで出来事があった翌年から、今ではパレードマーチと呼ばれますが、世界でそういう動きがあり、日本でも初めてパレードが行われたのが26年前です。それ以降毎年継続という形ではないが、主催団体が変わりつつ、ここ数年はひとつの団体が推進をして、東京レインボープライドという団体が推進をしていて、昨年は20万人の人がパレードで歩いたり、沿道で応援したり、複数のイベントに参加をして代々木公園に集まりました。

日本ではまだ国の制度として同棲カップルを家族として承認するという制度がありません。世界では、もう31国で同性婚がありますが、G7のなかでは、日本だけが何の法律もありません。国は立法不作為で、同性に性指向が向く人達を家族から排除しています。

同性婚制度を求める同性婚訴訟は、現在、札幌、東京、名古屋、関西、福岡で行われていて、第一審の判決はまだで、コロナでストップしてしまい、まだ地裁レベルで止まっている段階とのこと。

渋谷と世田谷で同性パートナーシップ制度ができたのが2015年です。自治体から同性のカップルを家族として承認していくという試みです。実はいろんな国で、国レベルで制度化される前に自治体レベルからこういう試みは始まり、それが徐々に法律になっていたという国は他にもあるのです。日本でもすでに51か所の自治体で導入されていて、自治体の約3割、日本の人口の3割を超えるというところまで広がっています。
 
しかし自治体の制度には法的効力はありません。家族についての法律は、これは国の権限ということになっているので、自治体レベルで法的家族を作るっていうことはできないのです。ですから、パートナーシップ制度を自治体レベルで作っても、それ自体に何か法的な拘束力があるわけではありません。ただ、自分の住んでいる自治体で同性カップルを認めますということがあると、それが他の企業とか周りの人に対して影響していきます。実際に企業などではそういう動きがもう既に出ていて、福利厚生などについて、夫婦と同じような扱いをするというところがもう出てきています。そういう意味では、自治体のパートナーシップ制度は、社会規範を変えていく、実際にもう変えているとのことです。

鈴木さんによると、次は国ですが、とどめを刺すのはまさに東京都だと思う、そして今回、宇都宮さんがパートナーシップ制度を作るということを公約に載せていただいたというのを非常に嬉しく思います。東京都ができれば、もうこの問題について地方レベルでは決着がつくというところにまで行くと思う。ですから、一日も早く東京都としてパートナーシップ制度を作っていただきたいと思っていますと鈴木さんは言われていました。

なお東京都は渋谷と世田谷から始まりましたが、区のレベルではそれほど進んでいないとのことです。むしろ、市の方が熱心に取り組んでいるところがいくつかあるとのことです。23区とそれから市全てでパートナーシップができるのを待つのは相当時間がかかります。それから東京都は頻繁に引っ越しをする人がいます。区をまたいで市をまたいで居住しているカップルもいます。そういう意味で区や市を越えて、都のレベルで制度化していただく必要性っていうのが一番高いとのことです。一気に国の制度を変えてしまうためには、東京都の力をぜひお借りしたいと思っていますので、私としては宇都宮さんにぜひ当選して頂いて、制度を作っていただきたいというふうに思っていますと鈴木さん。

国会議員に対するロビー活動ですが、鈴木さんによると、同性婚に賛同する議員も増えており、自民党の議員のなかにも、個別で会いに行くと実は同性婚に賛成ですって言ってくれるが、ただ党内でこれを大きな声で言うかというとそれはまた別の問題とのこと。自民党の中には高齢の男性議員を中心に、非常に頑固な反対派がいることも事実とのこと。しかし自民党も含めて 近い将来には変わっていくだろうと、その兆しは既にあり、野党の政治家はほとんどがもう賛成してくれているとのこと。立憲民主も、共産党も、それから国民民主も、それから維新の議員もそうだし、公明党の議員さんも最近は随分応援してくださる方がいるとのこと。

最後に宇都宮けんじは以下のように述べました。
「貴重な提言や意見たくさんありがとうございました。私自身はまず公約に上げてますけど、都知事になったら都としてパートナーシップ制度はなんとしてでも作りたいと思っています。それから今話された教育が重要だっていうのは私もそういうふうに思います。教育、小中学校の教育の段階からですねこういう問題について、きちっと教育のなかで取り上げて子どもたちに理解してもらう。基本的にはこれは人権教育の一環だと思うんです。それで私自身は弁護士として50年近くやってることになるんですけれど、非常に良かったのは、弁護士の使命は、基本的人権の擁護と社会正義の実現ということになってまして。それで基本的人権を守るというのは、非常に権力を持っていたり、経済的余裕のある人は自分で守れる人が多いんですけど、結局は自分で人権を守れない人っていうのは、社会的経済的に弱者であったり、マイノリティの人なんです。だから長年弁護士をやってくるなかで、基本的人権の擁護というのは、私自身に社会的経済的弱者やマイノリティの味方をするのが弁護士の使命なんだと、そういうふうにその言葉を読み替えて、自分の使命だと思ってやってきています。だからそういう意味では弁護士の仕事をやってきてよかったなと改めて思っています。そのなかでこのLGBTQ、性的マイノリティの方がちゃんと制度がないままで将来の希望展望が抱けないということで、若い人で大変苦しんだり、自殺をしたり、家出をしたりする人がいるということを聞きまして、こういう状況を打開することこそ、政治の使命だというふうに思っております。まず東京都政のあり方、政治を変えたいと思いますし、都政を変えるってことは先程鈴木さんも言われてましたけど、日本の政府、日本の政治に大きな影響を与えることになると思います。東京都は法律は作れませんけど、東京都がパートナーシップ制度を作るということは、国レベルで同性婚法を作る大きな第一歩になると思いますので、そういう意味でもみなさんの意見を聞いて頑張って参りたいと思っております。そのためには今回都知事選に当選しなきゃいけませんので、あと7月5日まで10日余りですけど、頑張って選挙運動を展開して、なんとしてでも勝ち抜いていきたいなというふうに思っております。今日はLGBTQのお話をしていただきました。貴重な意見を聞かせていただきまして、大変ありがとうございます。」