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宇都宮けんじブログ

「英語スピーキングテスト」事業の停止勧告など求める住民訴訟の記者会見報告(2022年11月25日)

はじめに

2022年11月27日、都立高校の入試に用いられる英語スピーキングテストが実施予定です。11月21日、当該テストの事業の停止勧告などを求める住民訴訟が、東京地裁に起こされました。同日、記者会見が行われましたので、希望のまち東京をつくる会(以下、当会)で記者会見を傍聴したスタッフのレポートを掲載します。なお、当会の中には、記者会見を傍聴したスタッフもおりますが、住民訴訟の原告であるスタッフもおります。
(11月26日付記:当会HPの不具合のため、一度アップした本エントリが、見えない状態になっておりました。14時30分現在、不具合は解消しているものと思います。ご迷惑をおかけいたしました。)

スタッフによるレポート

東京都は11月27日に、都内の中学3年生約8万人が受験する「英語スピーキングテスト」(=ESATーJ)を予定しています。教育委員会がそのテスト結果を来春の都立高入試に活用すると発表してから、署名運動含めて反対運動の輪が広がっており、都議会の中で「英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止のための議員連盟」(英語スピーキング議連)も立ち上がりました、11月21日は事業の停止勧告などを求める住民訴訟が起こされました。ここまでの間に、9月9日都民53人が住民監査請求を行いましたが、10月27日になって要件を欠き監査を実施しないとして却下されていました。
この度、記者会見を開いた原告の1人「入試改革を考える会」代表の大内裕和(武蔵大学教授)さんは「実施1週間前に訴訟を起こされてしまうような、問題だらけのテストを入試の合否判定に使っていいのか?」と訴えていました。
スピーキングテストを受けなかった受験生には、同レベルの他の受験生の点数が加点されるシステムです。不受験者の方がテスト受験者より合計点が高くなる逆転現象も起こる可能性が高いのです。また、受験申し込みには顔写真や氏名、電話番号など個人情報を登録しないといけないのですが、それを扱うのは民間教育企業のベネッセコーポレーション。この個人情報の取り扱いについて丁寧な説明が無いことや、情報を民間に提供することの同意を求められていないと主張する保護者の声も大きいです。
前述した「不受験者の扱い」の問題点、個人情報保護条例違反の疑い、そして当日の試験体制の準備状況など指摘事項が多いですが、いよいよ当日を迎えることになりそうです。さらには受験料1人5715円(税込)として、この事業には合計約4億5千万円の税金がかかります。会見に同席した出口かおり弁護士は「今回の裁判で公教育の公平性を守りたい」と話されていました。
ここまできたら都立高校の入試導入をやめさせる必要があります。


(写真提供:入試改革を考える会より)