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宇都宮けんじブログ

宇都宮けんじの街宣ファイナル(7月4日)ご報告

宇都宮けんじは、ひとりで出馬し、
第一声もひとりで行いました。

「たったひとりでもマイクを持って
街頭に立てる人間であれ」という

自分の言葉を体言する行動を取ってまいりました。
最後も、ひとりです。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、当初予定されていた最後の大街宣は中止となりました。代わりに16:00〜24:00まで配信されたYoutube番組「宇都宮けんじとZoom FIMAL」の中で、19:30より、宇都宮けんじがひとり、都庁前で最後の街宣を行いました。その動画と文字起こし全文を掲載いたします。

最後のひとり街頭演説(全文)

都知事候補の宇都宮けんじです。今、最後の街宣ということになります。これを入れて54回の街宣をおこなってきました。わたしは6/18の告示日、第一声をここであげさせていただきました。それは、都庁第一本庁舎、都政のシンボルだからです。そしてそのシンボルの前、都庁第一本庁舎の前で、最後の街頭演説をさせていただきます。

17日間にわたって選挙戦をたたかえたのは、わたしたちの市民選対の皆さんのおかげです。心強い選対の皆さんに感謝を申し上げます。また多くのボランティアの方に、わたしの選挙運動を手伝っていただきました。こういうボランティアの方なくして、選挙戦17日間はたたかえなかったと思っております。改めて感謝申し上げます。

また、ここまでたたかえたのは、多くの野党の皆さんの支持があったからです。立憲民主党、日本共産党、社民党、新社会党、緑の党。それに国民民主党の国会議員の方々、大変多くの方に支援していただきまして、心強くありがたく感じています。それに加えて都内多くの方の、市民団体や労働団体支援の輪が広がり、選挙戦を通じて大変励まされました。改めて感謝申し上げます。

わたしは第一声で、今回の選挙戦は、都民ひとりひとりの生存権かかった選挙なのだと強調してまいりました。この思いは、選挙戦を重ねる中でますます強くなってきております。コロナ災害のもとで、多くの都民が仕事を失い、住まいを失い、そして営業継続が困難になってきている。こういう事実を選挙戦を通じて各地で、街頭宣伝をやる中、現地視察する中で聞いてまいりました。ご承知の通り東京都内は、3日連続でコロナ感染者数が100名を超えました。今日は131名だったということです。

小池都知事のコロナ対策について

第一本庁舎、なぜ赤くならないのでしょうか。あの東京アラートはなんだったのでしょうか。まったく基準もなく曖昧なままに、都庁第一本庁舎を赤く染め、レインボーブリッジを赤く染め、そして自分が出馬するからといって、いきなり東京アラートを解除してしまいした。

そしてその後、感染者数は増える一方です。わたしは感染者が100名を超えたということは、新たなステージに入ったと見るべきだと考えています。今後ますます感染者が増え、医療崩壊の可能性もあります。それに対して現職の小池都知事は的確な対応していません。要警戒、夜の街を警戒、そういう言葉を発するだけでは感染の拡大を止めることはできません。

また、小池都知事のコロナ感染症対策、大変疑問があります。オリンピック延期が決まった途端に、感染爆発、重大局面と言ったり、あるいはロックダウン、オーバーシュートといったセンセーショナルな言葉を使って、しっかりやるのだと都民に見せてきました。しかしながらわたしたちが調べてみたところ、実はオリンピック延期が決まった3/24以前、相談件数は急激に増えていました。これに対する対応、きっちりとしたPCR検査はまったく行われていません。最高120件の検査がおこなわれているだけです。あきらかに初動対応を怠ったといえます。この初動対応の遅れがその後の感染拡大につながっております。

そして東京アラート解除は、都知事選出馬にあわせて解除しただけであって、なんら科学的根拠、客観的根拠なくして、解除してしまっています。小池都知事の恣意的なコロナ対策、あるいは政治的思惑に満ちたコロナ対策は、真に都民の命や健康を考えた、コロナ感染症対策だと、どうしても思われません。

さらに感染症対策には、その備えが必要です。インフラ整備が必要です。ところがその感染症対策の一番重要な役割を果たす保健所の数を、この間、東京都はどんどん減らしてきております。人員も減らしています。最大時71ヶ所あった保健所を31ヶ所まで減らしております。

その結果、感染拡大のなか保健所への問い合わせが集中して、保健所はパンク状態になりました。もし小池知事が、これからのコロナ感染症、第二波第三波に備えてしっかり取り組むというのなら、保健所の拡充、人員の拡充なくして対応はできないはずです。ところがこのような具体的対策はまったくとっておりません。

また都立病院、公社病院は、都内7割の感染者の受け入れを行っております。民間病院がコロナ感染症患者を受け入れた場合、一般外来の患者が減少して、経営は赤字になり、維持が困難になっております。このようなときだからこそ、都立病院、公社病院をしっかり直営で維持して、むしろ拡充強化することが必要なのです。ところがこの都立病院、公社病院についても、小池都知事は、実質的には都の直営から外して民営化にする、医療崩壊につながる、独立行政法人化をすすめようとしています。感染症対策の、しっかりした対策のインフラの基盤となる、保健所や、都立病院、公社病院の充実強化なくして、第二波第三波には対応できません。

このような小池都知事の政策を見ておりますと、本当に都民の命や健康を守ろうとしているのか疑問に思います。このコロナ感染症対策、第二波第三波にむけて極めて重要な対策は、PCR検査体制の抜本的な強化ということです。現在に至っても東京都の検査数は1500~2000件にとどまっています。これではきちんとした対応ができるはずがありません。わたしは検査数をただちに10000件~20000件まで増やすべきだと考えています。PCR検査が徹底して行われている。それなくして、経済と社会活動の両立はありえないと考えております。とりわけ、病院や学校、介護福祉の現場では、クラスターを防ぐためにも検査体制を強化する必要があります。

小池都知事は、わたしたちの公開質問状に対して、「十分検査はやっている」。そういう回答でした。しかしながら現在の最大の検査数は3100件。だいたい2千数百で止まっているのです。これではきちんとした対応ができるはずがありません。また、経営が困難になっている民間病院に対する財政的支援も重要です。さらに、医療従事者に対する支援、医療器具、防護服やマスク、こういうところに対する支援も充実強化が必要です。

わたしはオリンピック問題について、専門家やWHOが来年の開催は困難だと、オリンピック・パラリンピックの開催が困難だと判断した場合は、ただちにIOCにはたらきかけて、オリンピックの中止を求めます。そして延期で必要な予算は、延期によって浮いた予算をコロナ災害を受けた人の支援にまわすべきだと考えております。したがってそのような判断はできるだけ早期にすべきと思っております。今年の秋頃にもそういう判断がWHOあるいは専門家委員会で判断できるはずです。

カジノ誘致について

それからカジノの問題があります。小池さんはカジノで「稼ぐ東京」の実現をしようとしています。インターネットの公開討論で、小池さんはカジノについては、反対とも賛成とも言いませんでした。メリット・デメリットを考えていると。今の段階でノーといえないのは、導入する可能性が極めて高いとわたしは判断しております。

カジノとはどういうものでしょうか。日本語で言えば賭博で博打です。刑法で禁止されている犯罪です。カジノは、負けた人の犠牲の上に成り立っている商売です。負けた人が多いほどカジノはもうかるのです。そして負けた人の中には自殺をはかったり、一家心中をはかったり、一家離散になったり、その人自身がホームレスになったり、あるいはカジノの周辺では、反社会的勢力が暗躍して、犯罪が多発する危険性があります。とても子どもの環境に良いとはいえません。むしろ青少年の教育環境に悪影響を与えます。

そして今、カジノの有力候補地として、もっとも狙われている場所は、わたしの住んでいる江東区の青海地区なのです。ひとの不幸の犠牲に上に立った経済成長なんかありえない。このような政策自体が、政治家としては道徳的政治的堕落なのだと、強く反対運動を展開しています。もちろんわたしが都知事になれば、誘致は中止。1000万もかけてそのメリット・デメリットを判断する必要なんかないのです。東京都にはカジノはいらない。日本中のどこにもいりません。こういう政策を東京からすすめたいと考えております。

わたしはこれで三度目の出馬になります。何回も何回もよく出馬すると言われることがあります。わたしは都知事になってやりたいことがあったのです。そのために何度も出馬しております。もし、2012年以降になった都知事が、わたしのやりたいことを実現していたら、もう出なかったかもしれない。でも2012年にわたしが掲げた政策はその後の都知事によって、まったく実施・実現されていない。

給食無償化について

まず、都内の小中学校給食を完全に無償化することです。現在、子どもの貧困問題が大きな社会問題になっています。子どもの7人にひとりが貧困状態になっています。このような問題にしっかり支援していきます。子ども食堂は全国で3000ヶ所あり、これはすばらしい取り組みです。となりにある困難な問題についてしっかり支援の手をさしのべる、こうした活動は素晴らしいと思っております。

しかし、貧困の問題に真っ先に取り組まなければいけないのは、国や自治体だと考えております。それをまず国が先陣を切ってやるのが政治だと思っていますが、日本の政治は腐っています。まったくそういうことはやっていないのです。子どもの貧困対策法という法律だけ作って、なにもやっていないのです。わたしはまず、東京都の小中学校の給食の無償化を実施したいと考えています。

高等教育の授業料無償化について

それから、東京都立大学の授業料は半額化し、将来的には無償化にすることを考えています。日本は、高等教育の授業料が世界的に見てもとても高いのです。多くの大学生が、奨学金という教育ローンを借りています。そして社会に出てから、その奨学金が払えなくて困っています。現在、奨学金破産は急増しています。日本は、国際人権規約、社会権規約を批准しています。この中に「高等教育の無償化に努める」という条項があります。ところがそういうことをまったくやっていないのが今の政府です。

今回コロナ禍で大変傷ついた学生たちは、せめて授業料を半額化してほしい。そういう声があがっています。また、学生のアンケートによりますと、両親の収入が減って、自分もアルバイトがなくなった。大学の退学を考えている。こういう学生が5人にひとりになっています。こんな学生を支援するためにも、国際条約の責務も果たすためにも、わたしは将来的には大学の無償化をすべきだと考えています。ヨーロッパや北欧の諸国の大学はほとんど無償になっております。東京都立大学は、50億円あれば無償化できます。25億円で半額化できるのです。

現在の東京都の予算は、一般・特別会計合わせて、15兆4000億です。巨大な規模になっています。これはスウェーデンの国家予算を上回っているわけです。この中から50億や25億、捻出できないはずがないのです。まず東京都が都立大学の授業料を半額、無償化していけば、これは全国に波及し、国の大学政策、高等教育政策に大きな影響を与えます。この東京都の取組みを突破口にして、全国の大学の無償化を実現したいと考えているわけです。

都営住宅について

わたしが都知事になってやりたいこと。それは、都営住宅の新規建設をすすめるということです。建て替えはしていますが、石原都政以降、20年以上新しい建物はいっさい新設できていません。だけど都営住宅に入りたい人が少なくなっているかというと、そうではないのです。倍率が高くて、何回やっても抽選で漏れる。また、住まいの貧困で苦しんでいる派遣やパートで働いている人も多いです。ネットカフェで寝泊まりする青年労働者が4000人を超えています。脱法ハウスといった、とても人間が住む住まいと思えない、倉庫をベニヤ板で間仕切りして、わずか2畳に住民票を移して、そこで2~3万円の家賃を払って派遣労働者ややパート・アルバイトとして働いている人が、何千人といます。こういう人たちにちゃんと、家賃補助をしてアパート・マンションに住めるようにする。5万6万の家賃を補助する。このような家賃補助制度をわたしは導入します。そして、住まいの貧困をなくしていきたいと考えています。ヨーロッパでは、住まいの権利は人間の権利の基盤だと考えられています。人間らしいところに住める。これは国家も自治体もすべての国民、都民に保障されるべきです。

公契約条例について

わたしが実現したいこと。公契約条例をつくることです。公契約条例というのは、東京都が発注する事業所、公共事業を受ける、民間企業で働いている労働者の賃金を一定水準以上にする。そういう賃金を払っていない民間企業は、東京都の事業を受注できなくさせる政策です。現在の東京都の最低賃金は1013円です。しかし時給1013円でフル稼働しても、その収入は生活保護水準とそう変わりません。だいたい普通に働いて人間らしい生活ができるためには、時給1500円以上が必要です。したがってわたしは東京都の事業を受注できる企業の社員の賃金は、最低時給1500円以上でないと受注できなくさせます。男女差があってもだめです。男女平等賃金でないと、受注できなくさせます。こうして賃金の底上げをしたいと考えています。

非正規労働者について

また、日本の貧困と格差のひとつの原因になっているのが、労働政策の貧困です。とりわけ、非正規労働者、雇用の不安定、コロナ災害なんかが発生すると真っ先に解雇される。賃金が低い不安定な労働者、非正規労働者が年々増えています。12年前にリーマンショックが発生し、そのあと派遣切りが発生し、大量の派遣労働者が寮や社宅を追い出されて、野宿を余儀なくされた。このときわたしたちは、日比谷公園に年越し派遣村を作って、労働者の支援活動をおこなってきました。このときの非正規労働者の数は、だいたい全国で1700万人ぐらいでした。

仕事を失うだけで住まいまで失ってしまう。そういう貧困がひろがっているのだという認識が、このときひろがったはずでした。だから政治はそういう不安定な働き方をなくす、そういう使命があったはずです。ところがその後もどんどん派遣労働者が増えて、現在では2100万人になっております。全労働者の4割になっているのです。わたしは、東京からまずこういう非正規労働者を減らしていきたいと考えています。そしてできるだけ正規労働者、安定した雇用を増やしていく。そのためには、東京都はまず採用をはじめるべきです。まず東京都から非正規労働者を減らすべきだと考えています。

羽田空港低空飛行問題について

さらに大井町、品川、大田区で問題になっている羽田離発着の飛行機の低空飛行。実は離陸は、わたしの住んでいる江東区や江戸川区も含まれています。その下には病院や学校もある。騒音が大変問題になっている。あるいは落下物の危険性がある。基本的にはこれまでは、羽田の飛行機は海から入って海に出る。これが原則でした。ところが多くの観光客を受け入れたいという思惑で、飛行ルートが変えられている。今はコロナで大変飛行機の便数が減っているのに実施しています。国交省が決めている。わたしが都知事になったらこれをただちにやめさせます。

横田基地について

そして現在、横田基地にはオスプレイが配備されています。それと大型戦闘機が配備されて訓練が行われています。最近またパラシュート落下事故がおき、以前は小学校に落ちたということです。横田基地周辺の騒音に悩まされ、怖い思いをしています。首都の中に巨大な米軍基地があるわけです。これに対してわたしは都知事として、オスプレイ配備を都知事としてやめさせます。そういうはたらきかけをし、将来的に縮小、そして返還させる働きかけをしたいと思っています。

自己責任社会から社会的連帯を重視する社会へ

長い間のサラ金問題や派遣村の取り組みを通じて、わたしは社会には非常に問題があると感じてきました。この社会の問題がコロナ災害で鋭く突きつけられました。日本の社会は国民の命や暮らしより、経済効率性を優先した社会でなかったか。市民の人権よりも、経済効率性を重視した社会だったとみています。2011年の原発事故は、そういう政策の結果、起きたのではないでしょうか。この社会のあり方が問われているのがこのコロナ災害だと思っております。

経済成長を第一に考え、トリクルダウンで利益が貧しい人にしたたりおちる、豊かになる。この考え方は誤りだったということが今回明らかになったのではないでしょうか。多くの人があっというまに、何十年も築いてきたものを失い、自ら命を絶つ人が出ているのです。このような社会の転換が求められています。

経済効率性よりも、都民の命が大事にされる社会。経済効率性よりも人権を大切にする社会。競争より、自己責任より、社会的連帯や支え合いを重視する社会。その社会への転換が、今こそ求められていると考えています。そして東京は、都民の命や暮らし、社会的連帯や支え合いを重視する。そういう街に転換していかなきゃいけないと考えています。そういう東京こそが、都民ひとりひとりが希望を持てる東京になるのではないでしょうか。だれひとり取り残さない。

今回の都知事選は、生存権がかかっている。生存権を守る社会は、経済効率性よりも、都民一人ひとりのいのち、暮らし、人権を大切にして、社会的連帯や支え合いを重視する東京だと思っております。

これがわたしたちが希望を持てる東京だと思っております。そういう東京をつくるためにがんばって参りました。是非ご理解とご支援をいただければと思っております。最後の街頭演説を聴いていただいて、ありがとうございました。


〔撮影:小野寺宏友〕