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宇都宮けんじをもっと知りたい! たたかう弁護士とサラ金最大手 武富士

宇都宮けんじとサラ金最大手の武富士

サラ金業界最大手、武富士

1970年代に団地金融(個人相手)の高利貸しから始まった、かつてのサラ金(消費者金融)最大手武富士。経団連に加盟し、東証一部上場。会長の武井保雄は世界の長者番付にランキングされるなど、日本を代表する大富豪ともいわれた。

サラ金業界がこうして潤う中、消費者の側では、必要以上の高額な貸し付けとその強引な取り立てにより、夜逃げ、自殺者、家庭の崩壊などが多発し、社会問題となっていた。その経営手法は、グレーゾーン金利による高金利を設定して利息を取ることで多大な利益を得るというもの。それは同時に多重債務者を多く発生させた。

サラ金地獄に苦しむ人びとを救うため、宇都宮けんじら弁護士はグレーゾーン廃止、金利引き下げを求めて運動を続けた。しかし壁は厚かった。サラ金業界による政官財界への積極的な工作に阻まれ、グレーゾーン金利は長い間、残されてきた。武富士に関しては、右翼、暴力団、警察との癒着も明らかになっている。

だが、30年近く闘った宇都宮らの運動はついに実を結び、2006年に改正貸金業法が成立。グレーゾーン金利は撤廃され、過剰融資規制も大幅に強化され、多くの多重債務者が救済された。

ジャーナリスト宅盗聴事件

武富士は、踊るレオタード姿の女性たちのCMが有名だが、暴力的な経営手法が社会的に批判されている中で、真逆のイメージを植え付ける過剰な広告出稿をはじめ、事件やトラブルが多い。例をあげれば、武富士弘前支店強盗殺人・放火事件、過酷な労働環境、武井一族による私物化、創業者・会長の長男(海外居住)への生前贈与、等々。

中でも突出しているのは、それら武富士をめぐるスキャンダルを取材・追究するジャーナリストに対するスラップ訴訟や盗聴事件である。なにせ武井会長自らが指示し、フリージャーナリストの山岡俊介さんの自宅に盗聴器を仕掛けたというもの。山岡さんは、手に入れた動かぬ証拠をもとに数誌に記事を発表。武富士側はそれらを事実無根として、山岡さんと出版社を相手に名誉棄損で高額の損害賠償請求訴訟を起こした。さらには、恐喝未遂で立件させようとまで目論む。

こんな卑劣な弱い者いじめに当然、宇都宮けんじが黙っているはずはなく、武井保雄を電気通信事業法違反(盗聴)で刑事告発。これにより、武井は逮捕され、有罪が確定。会長職も辞任に追い込まれた。その後、武富士側は、「山岡氏の言論活動の抑圧、信用失墜を狙って行った、虚偽の主張による違法な行為でした。」と謝罪広告を掲載するに至った。

ちなみに、このときの武富士側代理人には、爽やかさを売りに、いま人気急上昇中の維新の会代表代行・吉村洋文大阪府知事が名を連ねていた。大阪市長時代、日仏共同テレビ局France10の記者から「訴権の濫用と認定されるような訴訟に、弁護人として加わったことをどう総括しているか」と、不法行為に加担したことについて道義的な責任を問われた吉村氏は、「依頼者の利益を守るための主張」「憲法上、認められた権利」「何の問題もない」と開き直っている。

用語解説
  1. スラップ訴訟(恫喝訴訟)
    高額な損害賠償で公衆の言論を抑圧するための戦略的な訴訟
  2. グレーゾーン金利
    当時、貸金業の金利には利息制限法(年20~15%)と出資法(年29.2%)との二つがあった。その間の金利のことをいう。利息制限法の上限を超えていても、出資法の上限を超えなければ刑事罰は科せられないため、サラ金業者はこのグレーゾーン金利による金利を設定して利息を取ることで多大な利益を得る。それは同時に多重債務者を多く発生させた。

※参考記事※
リテラ 2020年6月5日記事
吉村洋文知事に「武富士」の盗聴犯罪を隠蔽するスラップ訴訟の代理人の過去! 盗聴被害者のジャーナリストが語る不法な訴訟の全貌

宇都宮けんじをもっと知りたい!たたかう弁護士の物語