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宇都宮けんじブログ

希望のまち東京をつくる会「韓国スタディツアー」(2017年10月29日~11月1日)ご報告

スタディツアーの概要

  • 訪問団体:希望のまち東京をつくる会
  • 日時:2017年10月29日~11月1日
  • 人数:宇都宮けんじほか16名
  • 主要訪問機関:衿川区庁・禿山4洞住民センター・ソウル革新パーク・ソウル市庁・参与連帯・経済正義実践連合・光化門前広場セウォル号真相究明を求めるテント

スタディツアーの目的

  • 韓国社会の変化と市民社会団体の政策課題の調査および国際交流
  • ムン・ジェイン政府およびソウル市革新政策に対する理解と日韓関係協力の模索
  • 市民参加、社会革新のための地方自治団体の政策事例の研究

スタディツアーのブログ

  • 10月29日(スタディツアー前日)

 10月29日(日)台風の影響が心配され、飛行機が遅れて深夜着になった方もいたけれど、みんな無事にソウルにたどり着く。宇都宮けんじ団長たち先着チームは「文化備蓄基地」を訪問。公募で決まった今年のソウルのキャッチコピー「I・SEOUL・U」をモチーフにした木と原色の組み合わせがステキなオブジェにみんなでモデルみたいに座った画像が届く。

 「いいなあ わたしも行きたかったなあ」と思いつつ、東大門行きリムジンバスの車窓から日本より一足早い韓国の紅葉を眺めつつホテルでの集合を目指す。
 無事合流後は、夕食を囲みながら明日からの視察内容について打ち合わせ。途中から慰安婦問題を紹介した元朝日新聞の記者で『私は捏造記者ではない』の著者・植村隆さんが現地から駆けつけてくださり、食事を共にする。

 北朝鮮出身の方は必ずここで故郷の味を懐かしむという現地のガイドさんイチオシのお店で、冷麺も巨大水餃子スープ(マンドゥクッ)もボリュームが多くて大陸的!あっさりでヘルシーで美味しい~♪ 最後に「美味しかったです、ごちそうさまでした!」と挨拶したお店のおねえさんがいつも挨拶する近所のスーパーの店員さんにそっくりで驚く。

  • 10月30日(スタディツアー1日目)

 10月30日(月)地下鉄に乗って出発。

 聞いていた通り地下鉄はすべてホームドアが完備されている。
 衿川(クムチョン)区庁舎を訪問しチャ・ソンス区長と面談。

 とても立派な会議室を用意してくださりスクリーンには日本語で「ようこそ衿川区へ歓迎します」と映し出されていた。おもてなしに心あたたまる。福祉予算が2010年は32%だったものが2017年では54%という衿川区。豊かな区だから財政に余裕があり福祉が拡充されたのかと思ったらこの地区はむしろ豊かではない区だそう。いっそう区長さんの「福祉は人材への投資サービスである」ということばが胸に響く。韓国でも生活保護的な公助を受けることは恥という考えが根強く、バッシングも強いため受けにくいのは日本と同じらしい。「家賃を払えずごめんなさい」という遺書と手持ちのお金すべてを残して母子が自死した事件のお話に涙が滲む。こういった悲惨なできごともあり出前型福祉サービス(チャットン)に繋がったとのこと。当初30分の面談予定だったところを区長さんはご予定をキャンセルしてわたしたちに時間を作ってくださる、ありがたい。
ランチは区庁舎のみなさんオススメの老舗中華料理店へ。

 「区長さんから差し入れです」と酢豚が大皿で何皿も! 黒酢が利いててめちゃ美味しい! わたしの注文したチャンポンは中華そば風醤油ベースのスープに牡蠣とお野菜がたっぷり(麺はたぶん日本の2玉くらい入っている)で、洗面器みたいなどんぶりの「え、これ本当にひとり分?!」というボリュームでした。食後は衿川区のバスが次の訪問先まで送ってくださる。なんて親切!(お土産にめっちゃオシャレなメモリをいただきました♪)

 禿山(トクサン)4洞住民センターを訪問。

 ファン・ソギョン洞長は初の民間人洞長で、役所で待っているのではなく出かけていく福祉(出前型福祉・チャットン)の第1号として実践している。韓国でもっとも有名な洞長さんとのこと。

 こちらでも会場入口のウエルカムボードに日本語で歓迎のメッセージが描かれており、韓国の伝統的な(見た目はかりんとうのよう)サクサクしたお菓子をご用意くださったり細やかなこころ配りがうれしい。洞長さんから町づくりのいろいろな取り組みを伺う。伝統的な行事を復活させたり、ボランティアだった住民を準公務員にしたり、さまざまな工夫に熱意を持って取り組んでいる様子がよくわかった。「住民総会で予算の使い道を決める」というのも素晴らしい! 洞長さんの座右の銘の論語の掛け軸や、オリジナルの傘やブローチ、フォーチュンレターなどたくさんのお土産をいただく。

 そして、急遽訪問が決まった「ソウル市革新パーク」へ。この時もそうだけれど、電車に乗るとすぐに宇都宮さんや年長の仲間がさっ、さっと席を譲られる。「席、譲られちゃった(笑)」とはにかむ宇都宮さん。

 さっと席を立って、お礼をいう間もなくみんなどこかへ消えてしまうスマートさにびっくりする。
 ソウル革新パーク。


 10月に東京で開催された「反貧困ネットワーク10周年」で講演された非電化工房代表のカン・ネヨンさんの案内で「フューチャーフィールド」と呼ばれる中心の建物と、その向いにある青年を支援する団体・青年ハブが管理運営する「ユースフィールド」を見学する。本来は夕方なのでみなさん帰ってしまうところをわたしたちのために帰らず待っていて、あちこち見せてくださる。ありがた~い。ソウル革新パークでは市場価格より30%安く事務所を借りられるなど、若いひとや資金に余裕のない団体に嬉しい&革新的な取り組みが盛りだくさん。併設されているカフェはオーガニックやフェアトレードのものを基本的に使う社会的企業が運営している。

 内装は木を基調にしたとても落ち着いた雰囲気。敷地出入り口には可愛いビッグイシューハウスがありました(ここは展示室で毎週展示が変わるそう)。

 夜はこのあたりで1番美味しいという参鶏湯(サムゲタン)のお店へ。

 つつけばホロホロと崩れるくらい柔らかく煮込まれた若鶏にもち米がたっぷり詰め込まれ、ナツメやゴボウかと思うような高麗人参がごろんと入っていて、まさに薬食同源。ほんとうに素材を活かしたそのままの薄味なので好みで塩こしょうを足したり、食前酒の高麗人参酒を入れたり、キムチを入れたり各自お好みで味を整える。「ひとり1羽なんて食べられるのかしら」と思ったけれど、あっさりなので結構いけてしまう。みんなほぼ完食していました。

  • 10月31日(スタディツアー2日目)

 10月31日(火)ハ・スンチャン社会革新主席と30分間の面談。

 ハさんは元ソウル市副市長で現在・文政権の日本でいう省の大臣みたいな方。もしかして青瓦台(チョワンデ)に行くことになるかも?! とみんな一張羅を用意して行ったからこの日はセミフォーマルの集団みたいなことになっていて、コーディネーターさんは「どうしてみなさんお葬式みたいな格好してるの?」と思ったらしい(笑)。30分という短い時間だったけれど、「間接民主主義に頼って政策を決定すると市民の意志とは違う決定になることがある」「間接民主主義に直接民主主義的なものを取り入れて市民が自分たちの課題を自分たちで解決できるようサポートする」という政権側のスタンスに感服する。韓国の革新に携わるみなさんは口を揃えて「わたしたちは日本の市民運動に学んでいまがある」とおっしゃる。うーむ? それならなぜ日本はこういう未来に、いま現在なっていないんだろう? と首をかしげるばかり。
 ハさんご退席のあと、場所を貸してくださったソウル市が運営するNPOセンターの活動を聞く。こちらは市民運動と協賛企業をつなぐ活動をしていて、ミッションは「持続可能な成長を支援」「多様な公益事業のために小さな実験をサポートする」とのこと。建物自体もスタイリッシュでかっこいいし(ガラス張りのエントランスには青磁や白磁の瓶が飾られていて伝統と新しいものが調和しているセンスのよさ!)、活動紹介の動画もオシャレだし、ヨーロッパみたい。

 昼食はオフィス街のランチタイムのため全員一緒に入れるお店はむつかしいため3チームに分かれる。わたしはソルロンタン・チーム。人気店らしく少々並ぶ。一見豚骨スープみたいに見えるけれど、あっさりな牛テールスープに手打ちうどんがたっぷり入った大きなどんぶりで1万ウォン(1000円)。
 昼食後、他チームと待ち合わせ時間まで少しソウル市庁舎を見学する。

 外側から見るとガラスの波みたいな前衛的な建物だけれど一歩中に入ると壁面緑化されていてマイナスイオンが気持ちいい~♪ ソウル市庁舎の地階では、社会的企業でフェアトレード商品を売っている雑貨店や、韓国の有機認証マークの入ったオーガニックコーヒーのカフェを発見。韓国では「環境にやさしい学校給食の無償化」が進められていて、基本的にオーガニックのものを使用するという。進んでる~!宇都宮さんは、メッセージボードを発見し、さっそくソウル市へのメッセージを記入していた。ご自身の名前は、ハングルで!

 みんなと集合して、ソウル市のズン・ヒョグァン革新企画官と面談。もっとも重要視しているのは情報公開で、課長クラスでも決済した途端に誰でも見られるようになっているそう。年に2回・3日間市民が市庁舎の広場に集まって政策について直接討論する場があったり、SNSを通じて要望を伝えたり、賛成・反対など意見を集めたり、さまざまな手段を用いて市民の声に耳を傾けている姿勢が感じられた。500億ウォンでスタートした市民が使い道を決められる「市民参与予算制度」はいまは600億ウォンに増額されているとのこと。
 ソウル市庁舎からタクシーに乗って移動し、11月19日に来日講演が予定されている参与連帯のイ・テホ政策委員会委員長と参与連帯本部にて面談。

 1階にはカフェがあり、屋上からは大統領府である青瓦台もソウル市庁舎などがある日本でいうと霞が関みたいな場所も見渡せる。夕焼けが美しかった。参与連帯は韓国最大の市民運動団体で、その理念は「参与民主主義」と「人権」。1万5000人の会員を抱え会費と寄付で自主運営しているため政治から独立していられるとのこと。20年かけてボランティア層を厚くし多岐にわたる専門家が参加しているなど日本のこれからの市民運動の参考になることがいっぱい。「専門家の高齢化が課題」というので「日本と一緒だなあ、どこの国もそうなのかあ」と思ったら、「40~50代がメインなので」と嘆いていらっしゃる。なんですとー?!

 ソウルで過ごす最後の夜は商店街にあるお店の2階を貸切でキムチのチヂミやどんぐり豆腐のピリ辛炒め、細いキムチをそば粉のクレープで巻いたもの、豆乳スープに青のりのたっぷり入ったラザニアみたいな麺などユニークな韓国料理を囲みながらツアーの感想を話したり、かくし芸の披露をしたり、最後の夜を満喫。

 その後、日本大使館前に寄って、テントで寝泊まりして少女像を守る活動をしている大学生にお話を伺い、日本にも多様な声があることを伝え、みんなで募金して署名して、握手して別れた。韓国の大学生が日本のこの前の衆院選でまた政権与党である自民党が勝って政権が続投したことまで知っていて驚くとともに、「このくらいの年齢のときに韓国の政権与党が何党かとか全然知らなかったなあ」と反省する。わたしたち数人はこのあとホテルへ戻るが、猛者たちは松葉のマッコリを呑みに夜の街に消えてゆきました。

さらにツワモノがいて松葉のマッコリのあと深夜の東大門ショッピングエリアへひとりでお洋服を買いに行ったそうな(驚き)。

  • 11月1日(スタディツアー2日目)

 11月1日(水)経済正義実践連合を訪問し、ユン・ソンチョル経実連事務総長と面談。

 1989年に150人でスタートして、現在100倍に会員が増えたという経実連も参与連帯と同じく会員からの会費と寄付による独立採算運営で政治的中立を保っているとのこと。キーワードは「正義」「実践」「市民」。前日に面談したハ・スンチャン氏も経実連出身で、経実連出身のひとが政権に多くいるため影響力があるそう。土地の高騰は市民の不利益になるため不動産投資をやめるよう訴える運動や国会議員を「国民の要求を政治に反映しているか、社会発展に貢献しているか、利害集団とつながっていないか」など評価し「優秀議員」を選ぶ活動や、選挙の際には公約を判断し市民が理解しやすいようにして「投票参与運動」をするなどの活動をしている。現在は、投票権を18歳にしよう運動も展開中とのこと。お話を伺ったところ経実連の活動は消費者団体や弁護士団体のような感じなのに、日本では保守的市民団体と認識されているらしく「日本の市民団体との交流は10年ぶり」とのこと! 今後ぜひ交流して政権与党に影響を与える人材を送り込む具体的な方法など学ばせていただきたいです。

 ランチは小鉢にたくさんの種類のおかず(辛いキムチ・辛くないキムチ・酢の物や煮物・海苔・卵焼き・サラダ)と籠いっぱいの葉もの野菜を、それぞれ自分のごはんのどんぶりに好きな具を入れて、麻婆豆腐みたいな汁物をかけていただくというもの。おかずはおかわり自由。ごはんはおかわり1杯1000ウォン(100円)で、お椀に昔話みたいな山盛りでした。


 午後は光化門前広場のセウォル号のテントを訪問し、人権財団「ひと」のパク・レグン常任理事と面談。セウォル号事件の真相究明を求める運動とパクさんご自身の民主化運動活動家としてのお話を伺う。パクさんも光州事件で弟さんを亡くされた被害家族で、これまでの政権で弾圧されたり、謎の死をとげたひとびとの真相究明を求めているそう。「忘れない」ということは大事だなと、諦めず粘り強くほんとうのことを求め続けていくことの大切さをあらためて感じました。同時に、船の検査が民間委託になり違法改造船が見過ごされていたこと、船の耐久年数の規制緩和により耐久年数を超える危険な船が運行していたこと、また船員は非正規雇用であり、被害者となった学生さんたちを引率していた先生も非正規雇用で殉職扱いにされなかったなど、民営化するといのちよりも利益優先になること、コスト削減のために増える非正規雇用の問題点など日本と共通する部分が多くあり、もう1度日本もセウォル号事件をよく検証して教訓にしたほうがよいのではないかと思いました。

 韓国の市民運動ほんとうにすごかったです。盛り上がっているだけではなくて現実に政治で理想を実現して、みなさん自信に満ちて輝いていました。憲法遵守・人権・持続可能・連帯…民主主義を実現していくってステキ! と、まぶしく思うとともに、うらやましがってばかりはいられない、しっかり学んでわたしたちもみんな繋がって1つ1つ理想を実現させて行こう! と元気と勇気をいーっぱいもらいました。
 コーディネーターさんたちも「こんな専門的なお話ばかりでいいんですか?」「観光名所もショッピングもなしですけど、お土産は大丈夫なんですか?」と心配するほどの(基本的にトイレ休憩10分、昼食は30分)というハードスケジュールで、わたしひとりではとても書ききれないほどたくさんのことを学んできました。
 ということで、2018年1月28日(日)19時~文京シビックセンターの26階・スカイホールでの報告会をします!(詳細は、当ブログの前エントリをご確認ください。) それぞれの訪問先についてわたしたちスタディーツアーのメンバーが詳しくお伝えしますので、ぜひいらしてください(お飲み物つき)。わたしも発表します、お待ちしています♪  (うつけんゼミ生 原千代)

 なお、2014年度に希望のまち東京をつくる会が行った韓国視察の報告書は、下記からダウンロード可能です。今回の韓国視察の報告書についても、下記同様作成を予定しております。
「市民が見た韓国調査報告書~韓国の市民社会運動は、変革への希望を感じさせた~」
http://utsu-ken.up.seesaa.net/image/E5A0B1E5918AE4BC9AE9858DE4BB98E8B387E69699.pdf