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宇都宮けんじブログ

市民講座第5回「都政改革のいま――水はどうなるの?」(2019年5月30日)のご報告

演題:市民講座第5回目「都政改革のいま――水はどうなるの?」
主催:希望のまち東京をつくる会
開催日:2019年5月30日(木) 18:30〜21:00
開催場所:希望のまち東京をつくる会事務所
登壇者:中川崇さん(みんなで水ひろば共同代表)

 5月30日(木)に希望のまち東京をつくる会の事務所で、政策チーム主催の連続市民講座第5回が開催されました。
 テーマは、東京都における水道民営化の問題で、「みんなで水ひろば」共同代表の中川崇さんに「都政改革のいま〜水はどうなるの?」というタイトルで話していただきました。コーディネーターはPARC共同代表で当会の内田聖子。司会は当会の紅林進。参加者は、講師、コーディネーター含めて14名でした。今回は講師からの要望もあり、運営メンバー限定の内輪の勉強会という形で行われました。

 まず当会代表の宇都宮健児が挨拶し、続いて、コーディネーターの内田聖子からは、水道法が変えられ、今後は各自治体がいわゆる民営化、コンセッションをするのかどうかを決めてゆくことになり、しかも小池都知事は、2017年12月ころに下水道のコンセッションを内部的に検討すると言っているので、うかうかできないということを指摘し、今回の講座の位置づけについて語りました。その後、講師の中川さんが、大量の資料やパワーポイントを使って、「蛇口の向こう側を見てみよう!」ということで、水道の仕組みや歴史から始まり、小池都政における水道民営化をめぐる動きまで、詳しく説明されました。

 中川さんは、東京都水道局と下水道局の労働者で作る全水道東京水道労働組合(全水道東水労)の出身で、2016年に「みんなで水ひろば」を立ち上げ共同代表として活動してきました。「みんなの水ひろば」ではなく、「みんなで水ひろば」ということで、市民を含めた「みんなで」この問題を考えてゆくことを重視しているとのことです。

 小池都政では、特別顧問制度という問題のある制度を用いて、大阪で民営化を進めた上山信一慶応大学教授を特別顧問に据えて、「見える化改革」の名の下に、都政に介入し、その意向を押し付けているとのことです。水道局、下水道局の幹部もコンセッションなどの民営化に乗り気ではないが、表向き反対はできないとのこと。この間、東京都では工業用水が廃止され、下水道におけるコンセッション導入が検討されてきたが、「コンセッション」という言葉が独り歩きしている面もあるとのこと。たとえば、浜松市では下水道にコンセッション方式が導入されたと言われるが、それは一部で、しかも以前から外部委託が行われており、現在でも料金徴収は市が行っているとのこと。

 世界的には、人口増加による水の需要の増加と気候変動により「水危機」ということが叫ばれ、水が「経済財」として、ビジネスの対象になるようになったとのことです。フランスのヴェオリア、スエズ、英国・ドイツのテムズ・ウォーターなどの水メジャーと呼ばれる水ビジネスの大企業が世界の水ビジネスを支配しているが、日本ではナショナリズムとも結びつき、安全保障の名の下に和製水メジャーを作ろうという動きがある。推進役の政治家の死去もあり、和製水メジャーを作ろうという動きは停滞したが、新自由主義政策の台頭が国際水メジャーと連携した動きに変わっていったのではないかとのこと。麻生太郎副総理は米国に行って、日本の水道を民営化すると発言。日立製作所とヴェオリア、前田建設とスエズが業務提携したり、自治体の水道事業の一部をヴェオリアが受託するなどの動きも始まっているとのこと。

 都政では、石原都知事時代の後半、国で高速道路公団の民営化を進めてきた猪瀬直樹が副知事に就任、そして都知事になるなか、国際貢献に名を借りた水ビジネスにセ積極的になり、海外進出を手がけたとのこと。小池都知事自身は、あまり水ビジネスに関心があるように思えないが、民営化の流れもあり注意が必要なようです。入札価格の漏洩事件や外郭団体の東京水道サービス(株)のずさんな経営など水道局の不祥事に絡めて都庁からの締め付けが強まり、東京水道サービス(株)の社長に小池都知事の側近の野田数(かずさ)氏が就任するなど、話題に事欠きません。

 いずれにせよ小池都政の背景には、生産性向上を掲げ、PFI方式を含めた公共サービスの民営化を進める勢力が背景にいるので、注視が必要です。残念ながら都議会にも水道問題に詳しい議員はいないとのことです。重要な問題についてはパブリックコメント(意見公募)も行われるので、それにも注意が必要とのことです。

 講義の内容が盛りだくさんで、質疑応答の時間はそれほど多くは取れませんでしたが活発に質疑応答もなされました。今回の講演を通して、東京の水道という公共サービスが中川さんのような情熱を持って取り組まれている労働者によって支えられていることもよくわかりました。講演終了後は、近くの居酒屋で、講師を囲んで、宇都宮も参加し懇親会が行われました。