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宇都宮けんじブログ
シンポジウム「反貧困ネットワーク全国集会2020」(2020年2月15日)のご報告
はじめに
2月15日(土)に、希望のまち東京をつくる会(以下、当会)代表・宇都宮けんじが代表世話人を務める反貧困ネットワーク主催のシンポジウム「反貧困ネットワーク全国集会2020」が上智大学四谷キャンパスで開催されました。
参加した当会スタッフのレポートを、当会ブログにて、掲載させていただきます。
【反貧困ネットワーク全国集会2020】
主催:反貧困ネットワーク全国集会2020実行委員会
開催日:2020年2月15日(土)10:30~17:30
開催場所:上智大学四谷キャンパス2号館4階401
http://antipoverty-network.org/archives/3940
レポート
宇都宮けんじが代表世話人をしている「反貧困ネットワーク」の「全国集会2020」が2月15日(土)に上智大学四谷キャンパスで開催されました。参加者は約200名で、総合司会は、反貧困ネットワーク世話人で、当会事務局長の渡邊由紀子が務めました。
- 午前中のプログラム
先ず主催者挨拶を宇都宮けんじが行いました。日本は世界第三位の経済大国であるが、貧困大国でもあり、それは社会保障と労働政策の貧困の結果であり、つまりは政治の貧困の結果である。それを変えるためには、当事者の声を政治や行政に届けてゆくことが必要であり、今回の全国集会のテーマを「当事者の声を聞け!」としたことを述べました。また子ども食堂の取り組みが全国的に広がっていることは素晴らしいが、日本は韓国などに比べて、学校給食の無償化などで遅れており、こうした貧困問題に対する取り組みは先ず公的機関が率先してやるべきとも述べ、今回の集会を、自己責任社会を乗り越えて、希望の持てる社会の実現に向けた展望が語り合える集会にしたいと述べました。
続いて【セッション1】として「当事者が置かれている実態から見える今後の課題」について、竹信三恵子さん(ジャーナリスト)をコーディネーターに、3人の方が報告しました。
赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)は「新入学お祝い金を受給した世帯の状況と新入学時の困難」と題して、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」がひとり親家庭を対象に行った「新入学お祝い金」事業の紹介と、そこから見えてきた、ひとり親家庭の直面する貧困と困難の実態を報告しました。
続いて岩崎詩都香さん(高等教育無償化プロジェクトFREE)は「実態調査アンケートから見えてきた高学費に苦しむ学生の実態」について報告しました。その中では、成立した修学支援法の問題点にも触れられました。3月には、韓国の大学学費半額化運動を視察に、ソウルを訪問する予定とのことでしたが、今回の新型コロナウィルス問題で、どうなったのでしょうか。
白石孝さん(NPO法人官製ワーキングプア研究会理事長)は「非正規雇用問題・会計年度任用職員制度・相談支援業務から女性の貧困まで」と題して、公共サービスの3割が非正規公務員によって担われていること、その7割が女性であること、不安定で、正規と著しい待遇の格差があること、新たに導入される会計年度任用職員制度の問題点などについて述べました。
- セッション2
昼食休憩をはさんで、午後からは、白石孝さん(反貧困ネットワーク世話人)をコーディネーターに、【セッション2】が行われました。
先ず斎藤縣三さん(特定非営利活動法人わっぱの会代表)が「ソーネ基金(地域共同基金)の取組み」と題して、名古屋市で、ホームレス、外国人、障害者などに対する生活・就労支援に長く取り組んできた諸団体を中心作られた地域共同基金「ソーネ基金」の生活困窮者に生活資金を貸与する活動を紹介しました。
次いで韓国からの特別ゲストであるチョン・ソンオクさん(ソウル市:東 北4区公共給食センター長)が「ソウル市の親環境無償給食と都農相生公共給食」と題して報告しました。韓国のソウル市では、小中学校の給食は完全に無償化されていること、しかもその食材は国内の有機農産物が使われていること、来年に向けて高校まで給食の無償化を行うことを決めており、さらに学校だけでなく、保育園や福祉施設などの公共施設に給食の提供を拡大していること、その事業に生協も関わっていることを、それらを推進した韓国の食に関わる市民運動の歩みとともに報告していただきました。なおチョン・ソンオクさんはこの前日にも、パルシステム生協で報告されました。
次に清野賢司さん(特定非営利活動法人TENOHASI 事務局長)、武石晶子さん(世界の医療団ハウジングファースト東京プロジェクトコーディネター)、なべさん(ハウジングファースト東京プロジェクト・ピアスタッフ)の3人、が 池袋と中野区を中心に路上生活者支援をしている、7つの団体からなるコンソーシアム「ハウジングファースト東京プロジェクト」の「医療と福祉支援が必要な生活困難者が地域で生きていくことができる支援モデル」について、居住貧困の問題に対する支援について報告しました。
- セッション3~アフターパーティー
最後の【セッション3】では、全体会「垣根を超えて、つながって現場から変えていく」を雨宮処凛さん(反貧困ネットワーク世話人)がコーディネーターで行いました。各地域の反貧困団体、当事者団体のリレーセッションとして、ひきこもりの会、キャバクラユニオン、ウーバーイーツユニオン等の各団体からの発言がありました。
本集会の終わりに集会宣言が読み上げられ、「本日のまとめ」を宇都宮けんじ(反貧困ネットワーク代表世話人)が述べました。その中では、部屋の中に閉じこもっているのではなく、国会の前や都庁の前、各地の自治体の前で、我々の声を政治や行政に届ける行動も必要ではないかと述べました。
なおこの日の夜は、AFTER PARTY & TALKイベントが、「就職氷河期世代にもカウントされない私たちって、何?」と題して、新宿の「Cafe★Lavanderia」で行われました。
(希望のまち東京をつくる会 スタッフK)