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宇都宮けんじブログ

宇都宮けんじとZoom 第1回「どうなってるの!? コロナ禍における東京の医療」(2020年6月16日)のご報告

「どうなってるの!? コロナ禍における東京の医療」

宇都宮けんじが、様々な都政の課題についてZoomで話し、ゲストや参加者の皆さまの声を聴く、「宇都宮けんじとZoom」の第1回が、6月16日(火)に、「どうなってるの!? コロナ禍における東京の医療」と題して開催されました。

(以下、ご報告)

宇都宮けんじとZoom 第1回「どうなってるの!? コロナ禍における東京の医療」

日時:6月16日(火) 15:00~16:00

宇都宮けんじとZoom!第1回目のテーマは医療。

新型コロナウイルスの感染拡大の中で、まさに都民の生存権が脅かされています。
国の対策だけでなく、東京都には1398万人の都民の生命と雇用、住まいを守る責任があります。
その根幹である医療の現場では、いったい何が起こっているのでしょうか?
検査体制は?病床、人工呼吸器、マスクや防護服など医療器具は?
そしてエッセンシャル・ワーカーとして働く医療従事者の勤務の実態や待遇は――?
宇都宮けんじが、ゲストと参加者の皆さんから声を聞き、都政に求められる対策とビジョンをともに考えました。

<ゲスト>
谷川智行さん(新宿ごはんプラスボランティア医師、日本共産党都委員会新型コロナウイルス対策本部長)

またコロナ病棟の看護師さんや都立病院の労働組合の書記長など医療現場の方々も参加され、発言されました。

主催:希望のまち東京をつくる会

(以下、文字起こし全文)

司会  内田聖子
医師  谷川智行
弁護士 宇都宮けんじ

谷川 私は、都内の病院や診療所で医師として診療しておりまして、宇都宮けんじさんが、共同代表を務めておられる「新宿ごはんプラス」という、都庁の真下でやっている支援活動でボランティアの医師をしております。谷川といいます。同時に、共産党の東京都のほうで副委員長で、そしてコロナ対策の本部長をしております。

内田 ごはんプラスのこと、活動をもうちょっと詳しく伺ってもいいですか?

谷川 ごはんプラスは、ちょうど6年ほど前に、支援が必要な生活に困窮されている方、路上の生活の方も含めて、そうでない方も含めてですが、困ってる方に来て頂いて、食料の提供をしたり、生活の相談や医療の相談をさせていただくという活動を、基本的には月に2回、土曜日の午後にやってますが、4月以降は、「もやい」の皆さんと共同して、毎週やっております。この間は相談に来る方が普段の倍ぐらいになってまして、160人170人という形で、若い方、現役の方々の姿が目立つようになっています。

宇都宮さんとの最初の出会いは、2009年2008年から9年にかけて年越し派遣村でして、その時に、宇都宮さんが名誉村長をされていた年越し派遣村で、私もボランティアの医師として活動させて頂いて以来、お世話になっております。

医療現場では、医療用のマスクやガウン、手袋など、感染から身を守る物資が圧倒的に不足をしていました。そのために、同じマスクを1週間使い回す、ガウンのかわりにゴミ袋をかぶる。こういうことが実際に現場では行われてきました。私は診療していた医療機関でも、みんなで大きなゴミ袋を買ってきて、頭や手を出す穴を開けたり、切って、紐を作ったりして、ゴミ袋をかぶって診療をしていました。

風評被害も深刻で、その病院の名前が書いた訪問診療や訪問看護の車が来ると、駐車場に入らないでほしいというふうに言われたりだとか、職員のご家族が保育園に行くのを拒否されたりだとか、ええ、会社に行くのを控えてくれっていうふうに言われたりだとか、そういうことも続いていました。

一方では、大規模な医療崩壊の一歩手前だったというふうに感じています。部分的な医療崩壊はすでに始まっていました。院内感染もあちこちでありました。

更に、コロナ患者さんに対応する病床は、4月の末の時点で、東京都内の病床使用率は92%までいっていた。もう一歩で、病床が足りなくなるという本当にギリギリのところまで行っていました。

東京都が確保している病床、今3,300床だというふうに東京都は言っています。しかし、この数っていうのは、今実際に使える数じゃないんです。各病院にお願いをしている、要請している数の合計なんです。要請はしているけれども、その要請をされてる病院としては、その要請は分かるけれども、現状ではうちはそのうちの一部しか対応できないよ、っていうところもたくさんあります。実際に、本当に今使える病床をはっきりさせる、それを都民に示すっていうのが東京都の責任だと思います。

それから、病院の経営の危機が非常に深刻。赤字に転落している病院が非常に多い。閉院を検討しているところも出ています。

中規模の病院でもひと月数億円の赤字、大学病院にいたっては10億円から15億円の赤字という状況。国も東京都も、この減収に対する本格的な補てんという考え方がありません。

先日2次補正が国会で成立しましたが、そこにはコロナ病棟・病院という形で、病棟や病院、まるごとコロナ対応をするような、そういうところに対しての一定の措置はされましたが、それ以外の所に対しては、感染対策にかかったお金、これからかかるお金に対しての、その実費での補てん措置はありますが、しかし減収に対しての措置はないのです。このままいくと本当に倒産の危機ということになります。また働いてる人達は、ボーナスが減る出ない。給与もカットと、こういう状況が今、広がっています。

小池知事の最初の重大な責任は、初動の遅れです。オリンピックの延期が固まって初めて動いた。日本のPCR検査が、世界の国々に比べて、非常に少ない。

東京都のホームページから取ってきた資料からですが、相談窓口にかかってきた相談の件数ですが、2月の中盤以降、後半にかけて、急激に相談の件数増えてるが、それが3月いっぱいずーっと続くが、PCR検査の数は一向に増えません、全く増えません。この一ヶ月を越える期間、まったくPCR検査を増やそうっていう動きがなかった。このことが、経路不明の感染者を増やし、その後の感染拡大、そして緊急事態宣言というところに至る、こういう状況を作った非常に重大な原因と思っています。

この初動の遅れについて、小池知事は都議会での正式な答弁で「必要な検査は行われている」と答弁しています。実際には検査がなかなか受けられない、まず電話が繋がらない、繋がっても検査できませんと断られることがほとんどで、なかなか検査できなかった。それにもかかわらず小池知事は「必要な検査は行われている」というふうに未だに言っています。

なぜ検査が増えなかったのか、当初PCR検査ができたのは、地方衛生研究所なんです。東京で言うと、東京都の健康安全研究センターですけども、ここは1日に120件しか検査ができなかった。今は機械増やしたりして、もう少しできるようになってますけれども、これ新型インフルエンザの時よりも、できる能力減ってるという、この問題も重大なんです。そうなると120件しかできないわけですから、都内に31ヶ所ある保健所で考えると、一つの保健所あたり1日数件しかできないことに当然なります。そうすると保健所としては、やはり重い人を優先しようというふうになってしまう。これがあの、検査が進まなかった大きな原因だということは、お伝えしておきたいというふうに思います。

小池都知事は、PCR検査を10,000件めざすと言っているが、先日の都議会で分かったことは、この10,000件というのはPCR検査だけではなく、抗原検査キットも含めた数字だということが明らかになった。これから本気になってPCR検査を増やすっていう態度がない、姿勢がない。これでは第2波には対応できません。

宇都宮 PCR検査が少ないというのは、色々報道もされてて、なんで少ないのかなと思ってたんですけど、今の谷川さんの話でよくわかりました。それで一般の都民の多くは、報道では五輪延期決定がなされてから、小池さん、感染爆発とか、ロックダウンとか、オーバーシュートとかセンセーショナルは言葉を使って感染症対策を始めたんですけど、それ以前からこういう危機的な相談が増えてきて危機的な状況だっていうことは、当然小池知事を含め、都の中心メンバーは把握してたということですかね。

谷川 もちろんそうですよね。こういうデータ出したんだから。

宇都宮 小池さんは、よく対策本部かなんかで東京アラートを解除するかなんかをやってるわけですが、そこには感染症の専門家も入ってるわけですかね。

谷川 はいそうですね。助言を得ていますよね。

宇都宮 そうすると、相談が増えてて、電話がなかなかつながらない状態が、五輪延期決定まですでに続いていたということは当然、わかってたことだって思うと、これは大変な対策を、初動で相当きちっとやらないといけないのを相当怠ってたっていうことですね。それはやっぱり五輪の問題でなんとか五輪を開かせたいって思惑がかなり、あったというふうに、あったからこうなったというふうに見ていいんですかね。

谷川 その証拠はないので、五輪のために遅らせたって証拠はないので、そういうふうに断定することはできないんですけれども、先程お示しをした図を見ていただくとわかるように、一ヶ月以上の期間ですね、都民からの相談は激増して、電話もつながらないような状況が、おそらく感染の拡大もあったと思うんですよね。しかしもう検査は一向に増やさないと。そして表に都知事は出てこないという状況がずっと続いていたことは、事実です。五輪の延期が決定した翌日に突如として登場し、そこからパフォーマンスなのか、強い言葉を使って、アピールがはじまった、というこれは、事実だと思います。

宇都宮 それからあの、PCR検査数自体が増えていかないということは、東京都もそうだったんですけど、日本全国もそういう状態ですよね。PCR検査について、最初安倍首相もどんどん目標値を上げてったんですけど、全然現場がすすんでないっていうのは、やはり保健所を通じて帰国者接触者外来につないで検査をするという、こういう体制がやっぱり逼迫・・・保健所が数を減らされたりパンク状態になって、保健所を通じてこの人が検査できるところを案内し、まず検査できる病院で検体をとるんですけれども、その検体をとると、その検体を運ぶのも保健所の職員なんです。だから、電話相談も受け、そして濃厚接触者の調査も全部やって、さらに検体を運ぶ役割まで全部やんなきゃいけない。これが保健所を通じてやられたわけですから、保健所の体制これだけ弱っている中で、その能力が非常に落ちていたというのはひとつ大きいと思います。さらに検体を取る場所も限られて、帰国者接触者外来を持っている機関に限られていましたので、今やっとPCRセンターが各地に作られていますが、これは行政が頑張って作ったんじゃなくて、地元の医師会が一生懸命行政を突き上げて、半月、そして一ヶ月以上かかってセンターをつくってきたものです。このセンターを広げるには財政的な支援がどうしても必要です。そこで検査をする医師や看護師を確保するには、自分の診療を閉めてこなければ行けない。もっとセンターを広げ、いつでも検査できるよう、もっと機会を増やしていくためには財政支援が鍵だと思います。

宇都宮 韓国ではドライブスルーとか、ウォークスルーをやりながら、その検体の陽性か陰性か判断するのは、かなり自動化されてて、大量に分析できるようなシステムができていたようですけど、そういうものは日本では用意されてるんですか。

谷川 はい。その機械はあります。だけどこれ、高いんです。ですからこれを導入するには、これも財政的な支援がないとできないです。その機械を使わないと、ひとつひとつ検体をですね、技師さんが処理しなきゃいけないんですが、その行程が非常に煩雑でしかも専門性が高いので、一度に沢山できないということで、検査能力が限られてしまうんですね。ここも財政支援だなと思います。

宇都宮 政府の専門家会議が最初は政府のほうは、PCR検査を受けるためには、37.5度の高熱が4日連続続いた場合にかぎるとかなんとか、基準を出してたと思うんですが、あの37.5度の4日続くというのは政府の専門家会議の人がそういうことを言ってるとしたら、現場ではこういう保健所を通じての対応ができないことを、それを踏まえての発言だったのか、あるいは、本当にそう思っていたのか、そのへんの政府の専門家委員会の当初の要件は、どのようにお考えですか。

谷川 専門家会議の尾身さん自身が、おっしゃっているように、それは検査の能力を考えたうえでの基準だったということを認めてますし、だからこそ7.5というのは、途中で削除されましたよね。だからそこはおっしゃるとおりだと思います。

宇都宮 そうだとすれば、とんでもないことですよね。ほんとにたらい回しされて、本来なら軽症で済んでた人も重症になったり、あるいは命が救えた人もね、そのために亡くなる人まで出てきてる可能性もあるっていうのは。ちょっと非常に政府の専門家委員会、それから政府の対応もやっぱり、大変問題だといえますね。

谷川 ええそうですね。おっしゃるとおりだと思います。熱のことだけじゃなくて、肺炎になっていても入院するほどの肺炎でなければ検査もできないという状況が続いていたわけですから、そのことも認識しない、反省もしない、だからこれからも増やそうともしないっていうのが今の小池知事だっていうことだということがはっきりしたと思います。

宇都宮 それから各区にできてるPCRセンターというのは、さっきの2時間25000円という財政支援ということがいわれましたけど、それは自治体も少しは負担してるんですか?

谷川 はい、自治体によっては、負担しているところがあります。特に杉並区なんかは、非常に大きな支援をしていまして、積極的に検査や治療をしているような、区の病院に対して平均で2億円、財政支援するそういうところも出てきています。東京都のほうがよっぽどやってないなと思います。

その後、都内で働く看護師さん、都立病院の労働組合の書記長をされている方、コロナ病棟で働く看護師さん、精神障がい者のNPO法人の地域包括支援センターで働いている方などから、現場の報告や、問題提起をしていただきました。その中で、都立病院、公社病院の独立行政法人化の問題も出されました。また都立の医学部を作ってほしいという要望や、看護学校を大幅に拡充してほしいとの要望も出されました。

これらの発言も受けて、谷川さんは最後に以下のように述べられました。

谷川 看護師さんの学校について。都立の看護学校もずいぶん減らされています。それもやっぱり自民党型の都政が減らしてきたということも、言っておかなければならないと思います。2つ目に私が指摘したいと思っていたのは保健所のこと。かつて都内に保健所71あったのが31になった。多摩地域で言うと17が7ヶ所にまで減らされて、4つ5つの市を一つの保健所で見ている。足りないのは当たり前なんです。これを転換していかなければいけない。もうひとつは、小池知事は「機能強化をはかった。正しかった」と言っていると。ここを転換していかなければいけない。もうひとつ最前線でたたかった、都立・公社病院14あるんですけど、これを全部独立行政法人化すると。民間に近い経営形態にして移行しようというのが小池都知事の見解なんです。本当に正気とは思えない、これが、私たちの思いです。
こういう病院が都立病医院8つ公社病院6つあるんですけどそもそも石原都政のときに16が8に減らされた。それもぜんぶなくそうって方向です。そもそも都内の感染症指定病床の7割は都立公社病院なんです。これを一気に短期間で9倍10倍近くに増やすことができたと。これもやっぱり、こういう都立、公社という病院だからできたということを改めて言っておきたいです。これが独法化されたらどうなるかということは、本当に効率を優先されて縮小されていくというのは実態として起きているわけです。(独立行政法人化された)健康長寿医療センターでは、入所時に10万円取られるとか、看護師さんの賃金が下がるとかそういう状況が起きています。全国で分娩が廃止にになったり、そういうことが。こういう道を東京では歩ませるわけにはいかないということです。しかし小池都知事のこの間のコロナ対策を見ていると「自己責任」に貫かれている。この間の所信表明では、ウィルスを防ぐ手立てとしては「私達自身の強い意思と行動のみ」と言い切り、記者団に対しては「自らを守る自衛の時代、自粛から自衛の局面」言いました。行政としてはなにもしませんよという表明でこれでは第二波に立ち向かうことはできません。
宇都宮健児さんは出馬にあたっての緊急三課題の中で、命を本気で守る、そういう都政に転換するときだと述べられました。このことを最後に申し上げて私からの話を終わらせていただきます。