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宇都宮けんじブログ

生活保護利用に関する東京都の情報提供のあり方についての都庁記者クラブ記者会見(2020年12月28日)

はじめに

新型コロナウイルス禍の長期化で、仕事や住まいを失うことで生活困窮状態に陥る人が急増しています。特に、公共機関の窓口が閉鎖する年末年始は、多くの人が文字通り命の危機に直面するような状態におかれています。このような状況を受けて、厚生労働省は12月22日「生活保護の申請は国民の権利です」と、必要な人はためらわず生活保護申請を行うよう促すメッセージをHPに掲載しました。
生活保護を申請したい方へ

とはいえ、生活保護受給に関しては、社会的な誤解や偏見、申請の煩雑さがあり、本当に必要としている人がなかなか受給にたどりつけない現実があります。生活保護を必要とするより多くの人がスムーズに申請を行えるよう、東京都にも具体的な対策を促すべきと考え、希望のまち東京をつくる会は、12月28日、以下の要請書を東京都知事小池百合子氏と吉村憲彦福祉保健局長に提出し、その後記者会見も開きました。

東京都への要請と記者会見

当日は朝のうちに、小池都知事と管轄の福祉保健局宛に要請書を届けました。生活福祉部保護課長の西脇誠一郎氏、統括課長代理の箕正広氏、両氏に主旨説明し年末年始の東京都各福祉事務所の相談体制について問い合わせをしました。東京都では12月初旬に東京都の各行政区に年末年始の臨時相談窓口設置についての依頼を事務連絡で行ったとのことでした。

しかし当会の調査(12/27時点)では年末年始に臨時の相談窓口を設けたのは品川区、江戸川区ほか10区市のみでした。そのうち4区は電話相談のみ。困窮者の多くはすでに電話代が払えず音声通話ができる状態ではない人も多く、支援にたどり着くことができない人も多いと思われます。HPでの情報発信はもちろんのこと、「小池都知事自ら記者会見をし、生活保護申請を積極的に行うよう呼びかけるなどの対応をすべき」と宇都宮からも強く訴えました。

11時からは都庁記者クラブで記者会見を行いました。(IWJによる取材配信映像は末尾にあります)

代表から要請書を提出したことを報告し、内容を説明させていただきました。「生存権を保障した憲法25条を具体化した生活保護は、最後のセーフティネット」であると述べ、この会見の場でも小池都知事へ記者会見での呼びかけや東京都の積極的な広報の必要性を訴えました。年末年始の閉庁時でも福祉事務所相談窓口を開設すること、現場で対応できるケースワーカーなどスタッフの大幅な増員を行うことで、各地の福祉事務所の相談体制を抜本的に強化することを訴えました。

生活相談を受けた40代の女性で、コロナ禍で家賃を払えず住まいを失い、ネットカフェを転々とするような生活をしているにも関わらず「生活保護だけは利用したくない」と話す方もいました。このように必要な人が生活保護申請を躊躇する背景には、政治家が率先して生活保護バッシングを行ってきた背景も非常に大きくあります。ほかにも、58歳の女性が母親名義で借りていた都営住宅を、母親の死去で半年以内に出るよう通告された例などをあげ、現在都営住宅の使用承継が60歳以上になっている問題の使用規定を緩和するなどの対応も呼びかけました(神奈川県がこの11月に条例を改正し条件を緩和)。

 

情報拡散にご協力を

「生活保護は国民の権利」として利用を促した厚労省のHPは、ツイッターなどでも大きな反響を呼び、現在 #生活保護は権利 というハッシュタグも生まれています。

「誰もが利用できるという意識を醸成することは政治の役割であり、行政のトップが仕事や住まいを失った人たちに届く広報や宣伝をすることが、生活保護に対する考え方を変えるチャンスにもなる」(宇都宮)

希望のまち東京をつくる会でも、継続的に調査、働きかけをしていく所存です。また、年末年始には多くの市民団体が緊急相談会や大人食堂を実施します。生活に困窮されているみなさんがより多く利用できるよう、ぜひ、情報拡散にご協力ください。

要請書および要請項目 (PDF)

 

当日の様子をIWJが取材・配信してくださいました。