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宇都宮けんじブログ

原発事故による自主避難者への住宅支援打ち切り問題について

2017年 3月末で、福島県の避難指示区域外からの避難者に対する住宅支援が打ち切られることとなっています。希望のまち東京をつくる会では、去る1月21日、原発事故自主避難者の取材を続けているジャーナリストの吉田千亜さんをお迎えし、「希望政策フォーラム 原発事故避難者に住まいと安心を」を開催しました。当日会場は満員。福島からの自主避難者の方々にも多くご参加いただき、現在の窮状や不安な気持ち、今後の支援への要望などを具体的にお話していただきました。

この声を、一刻も早く、都政へ届けねばなりません。希望のまち東京をつくる会としても、東京都に対し、自主避難者の方々に対する支援施策の抜本的な拡充を緊急に実施するよう要請いたします。

福島第一原発事故 避難区域外避難者(自主避難者)の方々への住宅支援の継続を求めます

・2017年3月末で、福島県の避難区域外避難者(「自主避難者」)に対する住宅提供が打ち切られます。原発事故後、福島から県外に避難した方たちは、家族と離れた母子避難や自宅ローンを抱えたままの避難生活など、経済的・精神的に非常に困難な状況にあります。東京電力などからの定期的賠償を受けられない自主避難者にとって、住宅支援は現状唯一の支援策です。

・3月末の支援の打ち切り以降、現在の住宅からの立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃が発生したりする例が続出すると見られます。震災から 6年たとうとする今、自主避難者の方は、本人の意思と関係なく、帰還か「自力で避難場所を見つける」か、という二者択一を迫られているのが現状です。

・かねてから私たちは、福島原発の電気を大量に消費してきた東京都の責任を踏まえ、避難された方々への支援を継続するよう訴えてきました。小池都知事の就任直後の昨年8月には、宇都宮代表が直接、この問題を含む政策提言を知事に手渡しています。昨年9月、小池知事が都独自の施策として、都営住宅の優先入居を100戸増やし、計300戸を準備したことを、私たちは評価します。

・小池都知事が、先月21日、福島県の内堀知事との会談において「引き続きできるだけ多くの方々がお住まいいただけるような制度にしていきたい」と表明したことを多くの避難者の方々が歓迎するとともに、3月末という退去期限が迫る中で、その詳細を早く知りたいと考えています。

・東京都が打ち出した都営住宅の入居枠の拡大については、厳しい収入要件・世帯要件に該当せず、応募資格の権利を得られない避難者が大半です。雇用促進やUR賃貸、市区営住宅などの避難者は最初から応募資格がないこともあり、結果的に仮斡旋として166世帯が確定したのみで、これは東京都の自主避難者世帯数717世帯のうちわずか23.2%です。入居条件とされた世帯要件・収入要件が厳しいことが最大の理由であり、まず、この要件緩和が求められます。

・避難されている方々の不安を少しでも解消するため、都として、可能な限り避難者本人の意思が反映される仕組みを整備することが何より重要です。以下のような追加施策を真摯に検討するよう、小池知事に提案します。

①東京都として、現行の避難先の無償提供を延長する。

②都営住宅の優先枠について収入要件・世帯要件を撤廃、もしくは大幅に緩和したうえで再募集を行なう。とりわけ既に入居している人が継続して居住できるようにする。

③雇用促進住宅や民間賃貸住宅、国家公務員住宅に避難している方については、本人の希望により継続入居ができるよう国などに働きかけるとともに、その住居費負担が都営住宅家賃なみとなるよう、家賃補助を行なう。

④行政の姿勢を明確に示すため、都内に避難している方々を2017年3月末で強制的に退去させることはしないと表明する。

⑤避難者の声を小池都知事が直接聞く場を早急に設定する。
          
             2017年1月23日  希望のまち東京をつくる会 代表 宇都宮けんじ