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宇都宮けんじブログ

「市民講座第2回目「なぜ? どうして? 待機児童問題」」(2018年6月23日)のご報告

演題:市民講座第2回目「なぜ? どうして? 待機児童問題」
主催:希望のまち東京をつくる会
開催日:2018年6月23日(土) 18:30~21:00
開催場所:文京区民センター
登壇者:猪熊弘子さん(ジャーナリスト/子ども安全計画研究所代表理事/東京都市大学客員教授)

政策チームでは、運営メンバー、サポーターやメルマガ読者の方々を対象に、都政の諸課題を考える「市民講座」を開催していますが、その第2回を「なぜ? どうして? 待機児童問題」と題して6月23日(土)に文京区民センターで開催しました。講師はこの問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子氏。参加者は、杉並区長選最終日の応援や悪天候とも重なったこともあり、10名と少なかったのですが、少子化なのに、なぜ待機児童はなくならないのかということを、そしてその具体的な解決策も提示された、非常に有意義な猪熊氏の講演と質疑応答でした。
猪熊氏の講演要旨は下記のとおりです。
「保育園落ちた日本死ね!!!」の告発から2年が経ったが、待機児童問題は依然、解決していない。それに対処するために、この間、配置基準や面積基準などの果てしない規制緩和が行われ、保育の質が低下し、そのしわ寄せは、子どもとその施設、現場の疲弊を招いている。

 子ども子育て支援新制度が2015年から導入されたが、これは介護保険制度とよく似た給付制の制度で、利用するためには、「支給認定」を受ける必要があり、認定された分の保育を受けられる。しかしその制度は複雑である。
 また特に0歳児や1歳児の保育事故が多発しているが、保育は、本来「子どもの権利」である、ということを大前提にするべき。今の日本の保育では、子どもの権利が守られているとは言えないが、ノルウェーでは、「子どもの権利」を守る保育が行われている。

 良い保育、保育の質をあきらめないことが重要。保育の質を守るためにもっとも大切なのは「配置基準」。日本はOECD諸国の中で最低レベル。「保育の質」の3要素は、プロセスの質、構造の質、労働環境の質。
 世界の潮流は、「乳幼児教育」。無償化は先進国では当然。日本は世界レベルより遅れている。
 待機児童問題を解決するために、東京都ができるウルトラCとしては、「私立幼稚園を、認定子ども園にする」こと。幼稚園に確保されている園庭と保育園にある給食を組み合わせることができ、施設面での質を担保した形で、保育施設を増やせる。しかし私立幼稚園は自民党の強固な地盤でもあり、政治的には難しい面もあるとのこと。
 なお待機児童問題は保育の問題であるだけでなく、町づくりの問題でもあるとも猪熊氏は言われていました。