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宇都宮けんじブログ

シンポジウム「貧困と政治――自己責任論の罠」(2019年12月8日)のご報告

はじめに

12月8日(日)に、希望のまち東京をつくる会代表、宇都宮けんじが参加した、くらしにデモクラシーを!板橋ネットワーク主催のシンポジウム「貧困と政治――自己責任論の罠」が蓮根地域センターで開催されました。主催スタッフの方のレポートを、当会ブログにて、掲載させていただきます。

【貧困と政治――自己責任論の罠】
主催:くらしにデモクラシーを!板橋ネットワーク
開催日:2019年12月8日(日)13:30~16:30
開催場所:蓮根地域センター・レクホール
登壇者:宇都宮健児(弁護士)・中村淳彦(ノンフィクション作家)・阿久津幸彦(衆議院議員・立憲民主党)
https://cutt.ly/Pe6BMWS

レポート

くらしにデモクラシーを! 板橋ネットワークは、地域の生活者として直面するさまざまな社会の問題を捉え、生活を変革していくために活動している市民団体です。去る12月8日(日)、くらしにデモクラシーを!板橋ネットワーク主催のシンポジウム「貧困と政治」が板橋区蓮根地域センターにおいて開催されました。登壇者は、宇都宮けんじさん(弁護士・希望のまち東京をつくる会代表)、中村敦彦さん(『東京貧困女子』著者・ライター)、阿久津幸彦さん(立憲民主党・衆議院議員)です。現在の社会では「自己責任」で片付けられてしまいがちな貧困問題を、構造的に捉え、さまざまな視点から貧困問題を考えていくのが目的です。

中村敦彦さんは、関係性の貧困、情報の貧困、制度の貧困によって最貧困に落ちていく女性、見えにくい貧困の実態を報告され、「これが果たして自己責任と言えるのか?」と問いかけ、加速度的に状況が悪化する現在の日本について「もはや後進国である」と断言されました。

内閣府政務官時に防災、復興を担当されてきた災害の専門家でもある阿久津幸彦さんは、「災害時において、その被害は貧困層を直撃する。国は貧困対策をしっかりとすすめるべきだ」と発言。

宇都宮けんじさんは「平和は軍事力ではなく、戦争の原因となる貧困、格差、差別をなくすこと(積極的平和・国際平和学用語)によって作られるものだ」と発言。安倍政権が「積極的平和主義」を本来の国際平和学とは全く違う使い方をしていると指摘。また、現在の日本では国民健康保険の滞納によって保険証を取り上げられる医療難民が増えていること。大学の授業料が高くなり、奨学金を利用し、卒業しても正規雇用に就けず、返済が出来なくなり奨学金破産も増えていることなどに触れました。高齢者においても、もはや年金(特に国民年金)だけでは生活できない人が増えている一方で、所得の多い者が優遇される税制などがあることを述べ、「貧困と格差は、自己責任ではなく社会構造によって作られている。社会保障の貧困、労働政策の貧困がその大きな要因だ」と指摘。すなわちこれは「政治の貧困」であり、いまの政策を放置したままでは貧困はなくならない。市民は声をあげていかなければならない、と力強く訴えました。

参加者からは「重いテーマだったが、三者の発言には共感する事も多く、参加してよかった」などの感想も多く寄せられました。