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宇都宮けんじブログ

菅義偉首相の日本学術会議が推薦した会員候補者任命拒否は学問の自由の侵害だ

菅義偉首相は日本学術会議が推薦した会員候補者105人のうち6人の任命を拒否した。日本学術会議が推薦した会員候補者の任命を拒否したのは今回が初めてである。今回の菅首相による任命拒否は日本学術会議の存立を脅かすとともに憲法が保障する学問の自由に対する重大な侵害行為である。

日本学術会議は日本学術会議法第3条により高度な独立性を保持している。また憲法23条は学問の自由を保障している。菅首相による日本学術会議が推薦した会員候補者の任命拒否は日本学術会議法や憲法に違反する行為であり直ちに撤回されるべきである。安倍政権では最高裁裁判官人事や検事総長人事に介入し司法権の独立を侵害してきたが、菅政権は発足早々学問の自由を侵害しようとしている。このような蛮行を許してはならない。

10/5追記

日本学術会議が推薦した会員候補者のうち6人を任命拒否した問題について、10月2日菅首相は「法に基づいて適切に対応した結果だ」と記者団に答えている。しかしながら今回の会員候補者6人の任命を拒否した菅首相の対応は、日本学術会議法の解釈を誤った対応であると言わねばならない。

日本学術会議法17条2項は日本学術会議の会員は同会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると定めているが、同会議の独立性を考えれば内閣総理大臣には任命権はあるが任命拒否権はないと解釈すべきである。憲法6条1項により天皇に内閣総理大臣の任命権はあるが任命拒否権はないのと同じ考えである。

日本学術会議会員の任命に関し中曽根康弘首相は国会で「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁し(1983年5月12日参院文教委員会)、丹羽兵助総理府総務長官も「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」と答弁している(同年11月24日同委員会)。

1983年当時の中曽根康弘首相や丹羽兵助総理府総務長官の国会答弁から考えても、今回の菅義偉首相による日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命拒否がこれまでの政府解釈を無視した違法な決定であることは明らかである。