Policy
宇都宮けんじの政策

重要政策02 「気候危機」に対応した地域経済の振興。防災減災重視のまち東京をつくります

2020年6月27日 宇都宮けんじ「東京都知事選2020 総合政策集」を更新しました。PDF版は宇都宮けんじの政策トップページよりダウンロードできます。

「コロナ災害」下での自然災害=複合災害に備えての緊急対策

  1. 感染症対策と結合した避難所の設置準備を緊急に行います
    新型コロナウイルス禍が終息する前に、首都直下地震、大型台風、富士山噴火などの自然災害に襲われるという複合災害を想定しての緊急対策が必要です。

    • 3密を避けるために必要な数の避難所を関係機関と協議して確保します。
    • 避難所は宿泊施設のない人や外国人(労働者と家族、留学生、観光客など)を受け入れるものとします。
    • 3密を避ける段ボール製ベッドと衝立、新型コロナウイルス対策の医療資機材の必要量を確保・備蓄します。
  2. 風水害・高潮緊急対策に直ちに取り組みます
    昨年(2019年)15、19号台風による深刻な被害は首都圏における風水害対策の抜本的強化の必要性を示しています。

    • 国管理の1級河川(荒川、多摩川、中川、江戸川)堤防を耐越水堤防(*)にするなどの強靭化対策を国に対して要求します。特に今夏・今秋にも懸念される集中豪雨や大型台風に備えて荒川橋梁部への緊急対策に直ちに取り組みます。
      • 荒川沿いの荒川区等が要求しているJR東北本線荒川橋梁部周辺対策工事を今年度(2020年度)末ではなく今夏のうちに完成させるよう国に強く求めます。
      • 計画中の京成本線荒川橋梁架替工事の可及的速やかな施工を求めるとともに完成前においても今夏・今秋の橋梁緊急対策を求めます。
    • 送電ストップ・停電に対処できる態勢をつくります。
      • 被災地の公共施設等支援のために大型自家発電装置を確保し、災害時に派遣できる態勢を準備します。
      • 揚水ポンプ、河川水門、防潮水門等の水防施設作動の確実な稼働を保証する態勢を整備します。
  3. 地下施設への緊急水防対策を行います
    • 地下鉄においては駅入口の底上げ(マウンドアップ)、防水扉・止水板の設置、換気口の底上げなどを実施します。
    • 地下街に対しては浸水防止対策を推進するとともに、避難計画に基づく訓練を実施します。
  4. 首都高速道路東京湾トンネルなど沿岸諸施設への高潮対策を強化します。
  5. 島嶼における風水害、火山、津波に対する緊急対策を推進します。
    • 緊急避難態勢(全島避難を含む)を確立します。
    • 斜面崩壊危険度予測と対応した避難ルートを加えた土砂災害ハザードマップの整備を整備しアップデートします。

*昨年10月の19号台風では国が管理する1級河川のうち7河川、12箇所で堤防が壊れ、決壊が発生しました(10月19日段階)。これは増水した水が堤防を越えて(越水して)堤防を破壊した(破堤した)からです。越水しても破堤しない強靭な堤防(耐越水堤防)にするならば、水害を最小限に抑えることが可能となります。耐越水堤防の技術は旧建設省土木研究所によってすでに確立されており、自治体管理の河川では徐々に耐越水堤防化が始まっています。国管理の1級河川でも直ちに耐越水堤防化することが必要です。

防災・減災重視のまち東京をつくります

1971年、全国に先駆けて制定された『東京都震災予防条例』では、その前文で「東京は、都市の安全性を欠いたまま都市形成が行なわれたため、その都市構造は地震災害等に対するもろさを内包している」が「人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最小限にくいとめることができる」という認識を示し、「都民と都が一体となって東京を地震による災害から守る」という決意を表明しています。東京都はこの前文の精神に基づいて、予防対策重視の視点から“地震に強いまちづくり”を目指してきました。ところが1999年4月から始まった石原都政では1995年の阪神・淡路大震災などの都市型地震の経験を踏まえるとして、2000年2月『東京都震災予防条例』(以下、『旧条例』)を全面改正して新たに『東京震災対策条例』(以下、『新条例』)を制定しました。この『新条例』は、『旧条例』のもとでの“予防対策を重視した地震に強いまちづくり”方針を大きく転換させるものでした。まず、地震災害から都民の命と財産を守るのは都民自ら、すなわち「自らの命は自らが守る=自助」「自分たちのまちは自分たちで守る=共助」であるとしたことです。さらに、震災対策推進の第一義的責任を基礎的自治体としての区市町村に負わせました。このことによって、東京都は「都民の命や財産を守る」という本来の重要な任務を軽減させ、「首都における政治、経済、文化等の中枢機能を守るための危機管理」へと重点を移動させたのです。こうして石原都政とそれを引き継いだ猪瀬都政の防災政策の力点は幹線道路や緊急輸送道路の沿線建造物耐震・耐火化となりました。この防災政策は一極集中型の大規模開発と深く結合していることにも注目しなければなりません(マスター構想としての『2020年の東京』参照)。その一方で、多くの都民が生活している木造密集地域や一般市街地の耐震・耐火化は遅れているのが現実です。

このような防災対策では、襲来する首都直下地震において犠牲者(2013年12月中央防災会議ワーキンググループでは想定死者最大23,000人と算定)をゼロにし、被害を最小化することは非常に難しいといわねばなりません。ところがこの首都直下地震に対処するとして永田町・霞が関の中枢機能を一極集中型で防衛する高層建造物群が企図されています。しかし、この一極集中型の都市政策こそが災害に対する脆弱性をつくり出しているのです。加えて、高度成長期に建設された首都高速をはじめとするインフラが老朽化して次々と危険な状態になりつつありますが、これらのインフラを高度成長期と同じ一極集中型都市政策のもとで補強・改修するならば東京の脆弱性はいっそう深刻化します。

いまこそこれまでの防災政策や都市政策を根本的に見直しつつ市民の視点から『2020年の東京』に替わる新たな都市像をつくりあげる必要があります。こうした作業を都民参加のもとで進めつつ、同時にいつ深刻な災害が起こっても対処できる緊急対策にも急ぎ取り組まねばなりません。そこで以下には当面の緊急対策と防災力強化の方針を簡潔に示します。

  1. 防災・減災のための緊急対策
    • 首都直下地震への緊急対策
      • 木造密集地域を含めた一般市街地における木造住宅の耐震・耐火対策を推進します。幹線道路や緊急輸送道路沿道建造物だけでなく一般市街地の耐震診断・補強工事のための補助制度を充実させ、耐震化と不燃化が迅速に促進されるように市民生活の実情に応じた支援をします。
      • 市街地の大きな部分を占めるマンション等の集合住宅への耐震・耐火対策、エレベータ閉じ込めなどへの対策を強化します。また、長周期地震動が問題となる高層建築物での防災対策に取り組みます。
      • 学校、庁舎、病院、福祉、文化施設など、公共施設の耐震・耐火対策を強化するとともに、災害時の安全な避難施設としても機能するようにします。
      • 港湾埋め立て地域とライフラインに対する液状化防止対策を促進します。
      • 東京湾岸の石油コンビナートに係る防災対策を強化します。
      • 東京都として政府に対して、コンビナート設置者に地盤改良、防潮堤の設置など、自主的な耐震補強対策・津波対策の確保を求めるとともに、東京都としても、国の対策を待つことなく、一定の財政支援を含む緊急防災措置をとります。
    • 近年しばしば発生するいわゆる都市型集中豪雨への緊急対策を進めます。
      • 地下調節池、幹線排水路、排水機場の保守と整備を進めます。
      • 地下街、地下鉄への雨水流入防止策を強化します。
    • 富士山噴火・降灰への緊急対策を進めます。
      • 内閣府「広域的な火山防災対策に係る検討会」の『大規模火山災害対策への提言』(2013年5月)を踏まえて東京都防災会議の『東京都地域防災計画:火山編』(2009年修正)を改訂し、東京都としての火山防災態勢を強化します。
      • 降灰を除去・収集するロードスイーパーなどを主要輸送道路に配備します。
      • 降灰は広範囲に及ぶため国と協議の上で降灰処分地を設定します。
      • 火力発電所、送電システム、通信施設、上下水道、空港、交通システム、ATMなどに対する降灰対策を各事業者と連携して進めます。
      • 降灰時に都民の健康(呼吸器系疾患など)を守るために防塵マスクや防塵ゴーグルを必要個数準備しておきます。地震災害対応と同様に生活物資の備蓄を行います。
    • 東京湾岸、埋立地、ならびに河口付近における高潮・津波対策を進めます。
      • 地下鉄、海底トンネル道路、地下街への多重的浸水対策、安全な避難ルートの設定を行います。
    • 急傾斜地・地すべり等・土砂災害の土砂災害危険警戒区域や大規模造成地等の危険地域に対する防災施設整備を進めるとともに、市町村・住民と連携し土砂災害警戒情報に対する避難体制を確立します。
    • 伊豆大島土砂災害での被災者の生活再建を支援します。
    • 島嶼部の津波への対策を促進します。また、火山噴火対策としては全島民避難が速やかに実施できる輸送力を確保します。
    • 被災者の生活再建を支援する東京都独自の仕組づくりを進めます。
    • 老朽化したインフラへの緊急対策を事業者と連携して進めます。
      • 首都高速道路危険箇所については、事業者に緊急改修に取り組むことを要請するとともに、国にも支援要請を行います。
      • 道路・橋梁、上下水道、ガス管、排水機場などライフラインにおける老朽化危険箇所の緊急改修を進めます。
  2. 防災力強化のための緊急対策
    • 東京都レベルでの対策
      • 現行の地震被害想定では、想定項目に多くの仮定条件が含まれ大都市の災害の全体像が把握しきれていません。東京の防災問題を総合的に把握するための組織強化を図ります。
      • 交通、電力、ガス、通信など公共サービスを担う事業者との連携を強化します。
      • 区市町村、公共施設、事業者、近隣自治体などと連携し、帰宅困難者支援対策の強化に取り組みます。
    • 地域レベルでの対策
      • 防災まちづくりにおいては、住民が住み続けることができ、歴史的な景観や町並み、文化的遺産などの保存も十分配慮されることが大切です。そのために市区町村と地域コミュニティが連携して防災まちづくりができるよう支援します。
      • 地域における災害時避難について以下の点について整備し、支援します。災害時避難について、避難所・避難施設の確保、災害弱者・帰宅困難者・女性・高齢者に配慮した避難施設整備に取り組みます。また、自宅に留まる「自宅避難者」にも食事や食品、支援物資の配布に取り組みます。
    • 東京DMAT(Disaster Medical Assistance Team)への支援を強化します。
    • 首都圏ならびに近隣自治体の連携強化し、広域防災対策に取り組みます。
      九都県市首脳会議防災・危機管理対策委員会、首都圏港湾連絡協議会(国交省関東地方整備局、茨城、東京、千葉、神奈川、川崎、横浜、横須賀)など、すでに設置されている機構がさらに機能を発揮するように東京都としてイニシアティブを発揮します。
      また、「富士山火山防災対策に関する協定」を結ぶ3県(静岡県、山梨県、神奈川県)との連携を強化します。

 都心一極集中・大規模開発優先の都政を転換し、コミュニティと「気候危機」対策を重視する都市構造をつくります

  1. まちづくりの基調(都市の整備、開発、保全の方針)を新たに策定します。
    • 都市の膨張と都心一極集中に歯止めをかけ、地球温暖化を防止し、緑・水・アメニティ(都市の暮らしやすさ)・コミュニティ(地域社会)を重視する「サステイナブルな(持続可能な)世界都市の創造」への転換を進めます。
    • 東京がめざす「世界都市」とは、都市間の経済競争に勝ち抜くことだけを念頭に置いたものではありません。真の「世界都市」とは、世界各地の自治体や国連などと連携しつつ、民主主義と市民参加の拡大、人権尊重、気候変動防止と低炭素型都市づくり、国際平和、貧困縮減と社会福祉の増進、女性の権利向上、都市文化の充実をめざす都市です。
    • 特に、今日では、深刻な「気候危機」への対応が都市としても求められています。
    • 新たなまちづくりの基調は、都内各地の地域経済の活性化・内需拡大を促すものとします。
    • 東京への人口集中を抑制し、地方・農村での人口減少に歯止めをかけ、都市と農村が連帯できる経済循環と地方自治のしくみを検討し、国に提言していきます。
    • 東京オリンピック開催に名を借りた東京都心での大型インフラ整備は行いません。
    • 都市計画決定されながら事業が進まない公共事業から撤退する制度づくりの検討を行います。
    • 二酸化炭素を大量に放出する事業者に対しては東京都の補助金等を減らし、二酸化炭素の放出削減など「気候危機」対応をしている企業には独自の補助や投資をおこなうことを検討します。
  2. 東京都心の大型開発・再開発に歯止めをかけます。
    • 都心集中を進め、巨額の建設費がかかるリニア新幹線建設について、JR東海に対し、撤回を含め再検討を求めます。
    • 臨海部を都民のために活用します。
      臨海地区開発を見直します。臨海地区の今後のあり方については、都民・専門家の参加をえて再検討します。
      臨海部の広い都有地は、防災基地、緑地、密集地区改善の交換用地など都民のために活用します。中央防波堤内側・外側埋立地は、都営霊園など都民のために多様な活用を検討します。
    • 東京・川崎・横浜3港の統合・民営化と国土交通省による介入強化を許さず、自治体主導で東京港を運営します。環境保全の観点からも、財政の観点からも、東京港のこれ以上の大型開発を行いません。
    • 都心区に偏っている「都市再生緊急整備地域」の指定を見直し、都心区の高層過密化・交通混雑を緩和します。
  3. 高層ビルを抑制し、業務・商業地区の分散を進め、多心型都市構造を形成します。
    • 区市などと連携し、都心部の高層化に制限をかけます。住居専用地区での絶対高さ制限を導入します。
    • 業務・商業地区の多摩地域などへの分散を促します。多摩地域を中心として、緑を保全します。
    • 職住近接のコンパクトな生活圏を整備します。
    • 高層ではなく、中層のオフィス地域を誘導します。
    • 都営住宅の新規建設を復活します。【01-(3)住宅政策を参照
  4. 道路事業の軸足を「新規整備」から、防災減災対策・「老朽化対策」(維持・補修)中心へと転換します。
    • 「東京外郭環状道路」(外環道)計画は見直し、「外環道ノ2」(地上部街路)の都市計画決定を取り消します。
    • 都市計画道路を全面的に見直します。道路予算を削減します。
    • 区部・多摩地域の「優先整備路線」を見直し、道路予算を削減します。
    • 環境とコミュニティを分断し、住民に立ち退きを強いる、防災・「不燃化プロジェクト」に名を借りた大型都市計画道路の整備は行いません。
    • 更新が急務となっている高速道路や危険な橋梁の架け替え、首都直下地震による延焼防止のための道路整備など、防災減災対策では予算を削減しません。
  5. 緑を保全し、公共の近隣交通ネットワークの整備を促進します
    • 新型路面電車(LRT)・バスなどの近距離型公共交通の整備を都として支援し、あわせて徒歩・自転車(レーン、駐輪場などの整備を含む)を中心とした交通政策を進め、通勤・通学・通院・買い物がしやすいまちに変えます。
    • 区市町村を支援して、買い物道路・緑道のネットワークを整備し、安全で快適なまちにします。
  6. 環境重視型のまちづくりを進めます
    • 公害・環境対策を進めます。
      • 都独自の大気汚染医療(気管支ぜんそく)費助成制度を延長します。
      • 電気自動車、燃料電池車など低公害車の普及を強力に進めます。「電気スタンド」「水素ステーション」を増設します。
      • 都心部の自動車交通の総量を規制します。
      • 香害・化学物質過敏症などへの対策(原因調査・啓発・被害者保護)を推進します。
    • 「ゲリラ豪雨」の原因とも言われるヒートアイランド現象への対策を強化します。
    • 都内の農地・緑地を保全し、緑化・植林・植樹を進めます。
    • 河川や東京湾の水質を改善します。
    • リサイクル(再資源化)・リユース(再利用)・リデュース(減量)を進め、家庭ごみを抑制します。
    • 産業廃棄物の減量を進めます。
  7. 老朽化している道路・公共施設の見直しを行う「道路・公共施設見直し長期ビジョン」を策定します
    • 老朽化している首都高速道路やその他の道路については、「長期ビジョン」に基づき、財源を確保しながら、必要な補修・改修・更新(全面的な造り替え)を急いで進めます。他方、除去・見直しすべきものがあるか精査します。
    • 都内にある学校・保育・介護など生活に身近な公共施設の老朽化対策では、①防災減災の視点、②都民・利用者(障がい者、子ども、女性、高齢者など)の視点を重視します。
    • 区市町村が道路などの公共事業を「老朽化対策」(維持・補修)中心に転換できるように、補助金など財源を確保し、専門職員の配置を支援します。
    • 「気候危機」対応としても、自転車の利用を推進します。自動車専用の道路拡幅を可能な限り減らし、自転車専用レーンをつくります。
    • リヤカーやサイドカーなど多様な自転車が走行可能な自転車レーンを作り、自動車に乗らずとも荷物や子供を運びやすいようにします。
  8. マンション・団地対策を進めます。孤独死をなくす地域の「見守り市民活動」を支援し、修繕計画を作る際に住民が長く住み続けられるしくみをつくります。
    • 団地やマンションを、都市の新しいコミュニティとして位置づけます。高齢者や子どもが暮らしやすいバリアフリー化、耐震化、省エネ化など、生活環境を守り、住民が住み続けられるしくみを作ります。団地の建て替えによって、家賃の高騰や、敷地売却・高層マンション建設がおこらないように、都として対策をとります。
    • マンションの大規模修繕などによって長持ちさせるようにし、住民が長く住み続けられるような対策をとります。
    • 高齢者などの「孤独死」を防ぎ、子どもの事故をなくすために、団地・マンションの自治会などによる自主的な地域見守り活動を、都として支援します。
  9. 安全・安心のまちづくりを進めます。
    • 刑法犯は検挙件数・人員ともピークだった1984年以来、ほぼ半減し、少年犯罪は約三分の一に減少し、殺人など凶悪犯罪も減少しています。東京の治安が悪化しているわけではありません。他方、薬物事犯の約半数は暴力団が何らかの形でかかわっており、自殺者の多くが無職で、少年犯罪や来日外国人犯罪では失業者の割合が高くなっています。不況を背景とする街頭犯罪も増えています。このように、犯罪は貧困とコミュニティからの孤立(社会的排除)とに相関しています。いま真に必要な防犯政策は、貧困の縮減、人びとがコミュニティに包まれて安心して暮らせること(社会的包摂)を基礎とした政策です。
    • 中学校区を単位として、防犯・子どもの事故防止・青少年の居場所づくり・孤独死ゼロ・防災などを一体的にとらえた、市民を主体とする地域ぐるみの「マップづくり」と「安全のまち」提言活動にとりくめるよう、都として支援します。
    • 監視カメラなどハード偏重ではなく、人びとによる見守り活動といったソフト面を重視します。防犯カメラの設置については、法的しくみ(「防犯カメラ規制条例」など)がなく無制限になっている状態を改めます。
  10. 羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対します。
  11. 水道事業の民営化(コンセッション方式を含む)に反対します。東京都の下水道事業は、小池都知事が就任直後の2017年12月東京都の下水道施設の運営権を民間事業者に売却するいわゆるコンセッション方式の検討が始められました。背景には、東京都の人口減少、老朽化したインフラの更新、そして、豪雨など自然災害の増加があり、これらの危機に対応するためには、民間企業の資金、経営ノウハウ等を活用しようという理屈です。日本政府によるPPP(官民連携)/PFIの推進と一致しています。しかし、都民のいのちを守るためには、公共による維持・管理が必要であり、特にコロナ災害において、医療等と並び公共の責任で必須のサービスをおこなう責任と意義は明らかになりました。民営化に進むあらゆる動きに反対します。
    まず、下水道の民営化の検討をただちに中止し、上水道についても民営化の検討につながるうごきに反対します。

「気候危機」に対応した東京の地域経済をつくり、雇用を増やし、都民が暮らしやすい・働きやすいまちにつくりかえます

  • 都内の産業構造を組み替え、「気候危機」に対応した産業を育成し、雇用を増やし、内需を拡大し、地域経済を活性化させます。アベノミクス型「成長戦略」とはちがう、もう一つの経済政策を進めます。
  1. 東京で「気候危機」に対応した産業分野の成長をさらに促すような都独自の産業政策を進めます。また、それを日本全国で展開するよう国にもはたらきかけます。~グリーン・ニューディールの促進
    • 住宅産業:個人住宅や公共施設(学校、病院、福祉施設など)、民間事業所、商店街などを、防災減災に対応して耐震性・耐火性が強く、「気候危機」対応の脱原発型・低炭素型のものに改修・改築することを大幅に促進します。これにより、地域の中小建設業・住宅産業を活性化させ、雇用を増やします。
    • 環境産業:大気汚染防止装置や廃棄物・汚水処理装置の開発・製造、蓄電池や太陽光発電システム・家庭用ソーラーシステムの開発・製造、風力発電所の建設、「エコ家電」・電気自動車・燃料電池自動車の開発・製造を進めます。
    • リサイクル産業をいっそう振興します。
      障がい者・無業者などを雇用するリサイクル事業所を拡大します。
    • 都市緑化事業(いわゆる「緑の公共事業」)を拡大します。
    • エネルギー産業:自然再生エネルギー(太陽光、水力、風力、バイオマスなど)を使った、公共施設・工場・事業所ごとの小規模分散型自家発電装置や、熱エネルギーのコジェネレーションを促進します。
    • 福祉産業:保育士、介護士、障がい者福祉分野での専門人材、社会福祉士、児童館職員、各種のユースケア専門職の人材育成(専門学校などの増設)と雇用を拡大します。
      医療、保健衛生分野での専門人材の養成を強め、雇用を拡大します。
      福祉・介護機器や設備の開発・製造を進めます。
    • コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス:まちづくり・地域情報の発信、商店街活性化、環境ビジネス、子育て・高齢者などの分野で、女性・退職世代・学生などが「社会的起業家」(協同組合、NPO、非営利法人など)として活動しやすい環境の整備を都として支援します。
    • 情報産業:情報通信、情報提供サービス、映像、インターネットなどの分野での若者の雇用拡大を支援します。情報産業での慢性的な低賃金・超過労働の改善をめざします。情報インフラを整備し、創業を支援し、経営相談を強化します。
    • 都市農業:大消費地東京を抱える近郊の都市農業は、収益性が高く、産業として有望です。農家のこれ以上の減少に歯止めをかけ、農地を保全・拡大します。都として農業政策を強化し、農業予算を拡大します。若者の就農を進めます。
    • 水産業、林業:島嶼部の水産業、西多摩地域の林業を、東京の基幹産業の一つとして位置づけ、振興します。
  2. 都として、都内の地域類型ごとに地域経済循環と多様な産業連関を形成するための『グリーン・ニューディール(気候危機に対応した経済政策)地域経済将来ビジョン』(仮称)を策定します
    • 都内の区市町村、市民活動、地域経済団体、地域労働組合、金融機関、大学・各種研究機関・シンクタンクなどと連携して知恵を結集し、グリーン・ニューディール地域経済循環づくりのための長期ビジョンと実施計画を策定します。
    • グローバル経済の波に翻弄され、大規模工場の移転・閉鎖が相次ぎ、厳しい経済状況にある多摩地域について、倒産防止、雇用・失業・職業訓練の対策を進め、「グリーン・ニューディール」政策などを参考にして地域再生を進めます。
    • ヨーロッパ・アメリカなどの既存製造業が衰退する地域における産業再生事業や、いわゆる「グリーン・ニューディール」政策に学びながら、多摩地域における地域産業再生を進めます。
    • 撤退する事業所に対しては、各市と連携を取りつつ、「企業の社会的責任」を求めながら、関連企業の倒産や仕事・雇用の減少をくいとめ、失業対策・職業訓練などを充実します。新たな環境産業、自然エネルギー産業、福祉・医療産業、地域商業コミュニティ・ビジネス、ソーシャル・ビジネス、都市農業、林業の発展を支援します。
    • 23区東部・北部地域:地場産業といえる印刷・出版、食料品、江戸・明治時代以来の伝統工芸などのものづくりの発展を支援します。各区で行われている地場産業振興のための工房への支援を行います。
    • 23区西部・南部地域:金属・機械加工、ファッション、情報産業の振興を図ります。
    • 地域経済循環交付金制度を創設し、都として補助を行い、区市町村が地域経済政策を立案・実施できる体制を整えます。
    • 新しい発想での「気候危機」対応型の起業を促進するための「グリーン・ニューディール(気候危機に対応した経済政策)起業推進センター」を設置します。100室くらいの小型ラボ(研究室)を2年期限で家賃無料での貸し出し、その期間に起業することを後押しします。関連施設では、3Dプリンターなど最新機器を無料で使用できるようにします。技術開発やマーケティングの相談に乗るスタッフも配置します。運営も含めて若い人を優先することとし、若い世代の発想での企業を応援します。
    • 都として公共調達を拡大し、地域の中小企業と地域雇用を支援します。
    • 公契約条例を含め、地域産業を振興するための公共調達のしくみを充実させます。
    • 雇用創出・最低賃金引上げ・労働条件改善(「ブラック企業」調査などを含む)・職業実習・職業教育の内容の充実などを議題とする、行政トップ(知事・市町村長)・地域経済団体・地域労働組合の三者協議のしくみを、都レベルと、それぞれの区市町村に、設置します。常設とし、事務局を設置し、専門職員を配置します。
  3. カジノ開設に反対します
    • カジノ開設で外国人観光客が増え観光産業が活性化するという議論があります。しかし、マカオのカジノ市場は3兆円規模ですが、日本ではパチンコ産業だけで19兆円規模となっていて、すでにギャンブル大国です。ギャンブル依存症が大きな社会問題となっています。都は公営のギャンブルを行いません。
  4. 東京都中央卸売市場について

2018年11月、築地市場は小池都知事により非常に強引なやり方で豊洲に移転することとなりました。しかしながら、立地の悪さ・駐車場の不備による客離れ、また重大事故が多発する設計など、多くの問題が指摘されています。また中央卸売市場会計全体では、経常赤字143億円という状況になっています。これらについては東京都自身に重大な責任があることは明らかであり、消費者・買い出し人・生産者を含む関係者の意見を開かれた形でよく聴き、どのような解決方法がいいのか、あらゆる可能性を排除せず一緒に考えていきたいと思います。

また、本年6月21日に施行の『改正』中央卸売市場条例についても、「公正取引が失われる」という指摘が多く出されています。都民の財産である卸売市場が不当な取引に使われていないか、関係する事業者の方々や都民の不利益になっていないか、十分に監視する必要があると思っています。

卸売市場は地方と東京を繋ぎ、東京の中小零細小売店を守り、都民の生活の基盤となる、“ポスト・コロナ”の東京を考える上でも重要な施設です。開設者としての責任を十分に果たしていこうと思います。

中小零細企業は、東京の地域経済を支える重要な存在です。中小零細企業を発展させ、自営業者の生活を守ります。

  1. 都として中小零細企業予算を大幅に拡充し、公・民の中小零細企業むけ投資を増やします。特に「気候危機」対応の先進企業について投資を抜本的に拡大します。
    • 中小零細企業むけ金融の充実。
    • 中小零細企業への技術支援の充実。
    • 若者の就職と地域の中小零細企業の採用とのマッチングの促進。
    • 中小零細企業からの公共調達の拡大。
  2. 後継者問題に悩む中小零細企業にたいし、事業継承の相談・あっせん等を行うスキームを、地元区市町村などと連携して強化します。
  3. 資金繰りの不安を解消するために、区市町村の制度融資と連携して、都の制度融資を充実させます。
  4. 地場のものづくり産業に職人志望の若者が参入するのを促すため、区市町村で先進的に行われている創業支援事業を都として支援します。
  5. 賃金引き上げをおこなった場合の社会保険加入負担を使用者負担分について免除するなど、中小零細企業にたいする経営補助制度を創設します。
  6. 雇用を作り出し、雇用者に生活できる賃金を支払い、適法に社会保険に加入でき、労働災害が少なく、消費者の安全にこたえ、地域経済に貢献する、すぐれた中小零細企業を増やします。
    • 区市町村などとも連携して、すぐれた中小企業の創業・経営に努力する経営者むけに啓発・支援セミナーなどを大幅に充実させます。
  7. 中小企業むけの医療保険である「協会けんぽ」の加入者が健康診断をうけやすくします。

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